連邦院

スイス連邦院：議事堂と政府庁舎の複合施設

スイスの首都ベルンに位置する連邦院（ドイツ語: Bundeshaus、フランス語: Palais fédéral、イタリア語: Palazzo federale）は、連邦議会議事堂と政府各省庁のオフィスが入った建物です。観光名所としても知られていますが、単なる議事堂ではなく、国の政治と行政の中枢を担っています。

名称の由来

ドイツ語の「Bund」（連邦）と「Haus」（家屋、大規模な建築物）を組み合わせた「Bundeshaus」は、文字通り「連邦の家」を意味します。フランス語とイタリア語の名称も同様に、「Palais/Palazzo」（宮殿、大規模な建築物）と「fédéral/federale」（連邦）を組み合わせています。

歴史

連邦院は、西棟（Bundeshaus West）が1852年から1857年にかけて、東棟（Bundeshaus Ost）が1888年から1892年にかけて建設されました。2003年には、建物の前が「連邦広場（Bundesplatz）」として整備され、観光名所としての魅力も高まりました。

構成

連邦院には、以下の機関が入っています。

連邦議会 (Bundesversammlung): スイス議会の総体
国民議会 (Nationalrat): 下院に相当する議院
全州議会 (Ständerat): 上院に相当する議院
連邦参事会 (Bundesrat): 議会統治制におけるスイス連邦政府の各省庁のオフィス

ハンス・ヴィルヘルム・アウアーは、連邦院のイメージプログラムをデザインし、建国神話、重要な機関、国の歴史、憲法の基礎、スイスの多様性を表現しました。

アウアーは以下のように述べています。

「目的は、スイスの永遠の栄光、スイスの団結と結束の象徴、国民の芸術精神の最高の表現に役立つ作品を制作することである...スイスが立ち上がる国会議事堂は、その確固たる確立された制度、その安全な状況、祝福された繁栄、国力と国家の必要性の意識の表現の記念碑である。」

ファサードとドーム

連邦院は、印象的なドームを備えた縦長の建物です。北側のファサードには寺院のような柱廊玄関があり、南側のファサードには2つの隅の塔と中央に広い膨らみがあります。建物は主にベルン砂岩で作られており、ドームは銅で覆われています。完成当初は赤色でしたが、約25年後には特徴的なターコイズグリーンの緑青が形成されました。ドームの上部には、金メッキのスイス十字架があります。

柱廊玄関の切妻には、「Curia Confoederationis Helveticae」（スイス連邦の市庁舎）という文字が刻まれています。2023年には、連邦憲法制定175周年を記念して、芸術作品「ティロ」で装飾されました。

ドームホール

ドームホールは、連邦院の建築上の焦点であり、最も重要な部屋です。入口エリアと国民議会および全州議会の部屋を繋いでいます。15種類の異なる岩石が使用されており、ギリシャ十字の形をしています。ガラスのドームの上に連邦院のドームがそびえ立っています。

西棟

連邦院西棟（旧連邦市庁舎）は、外務省(EDA) と司法・警察省(FDJP) の本部であり、連邦事務局の所在地でもあります。建物はU字型の間取りで、ベルナブルンネンのある中庭を囲んでいます。

まとめ

連邦院は、スイスの政治と行政の中心であるだけでなく、国の歴史、文化、多様性を象徴する建築物です。その壮麗な外観と内部の装飾は、訪れる人々を魅了し、スイスのアイデンティティを伝える役割を果たしています。

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