遊ちゃん

ジンベエザメ「遊ちゃん」の歴史：海遊館のアイドル

大阪市にある海遊館では、長年にわたりジンベエザメの「遊ちゃん」が来館者を楽しませています。しかし、「遊ちゃん」は単一の個体ではなく、代々受け継がれる愛称なのです。本稿では、歴代の「遊ちゃん」たちの物語を紐解きながら、その歴史と海遊館における役割を詳しく見ていきます。

初代遊ちゃん

初代「遊ちゃん」は、海遊館の開館（1990年7月）に先立ち、沖縄近海で捕獲され、海遊館へと運ばれてきました。搬入時の体長は4メートル7センチでしたが、海遊館で大切に飼育され、最期を迎える1998年11月には7メートル76センチに成長していました。その大きさと優美な姿は、多くの人々を魅了しました。

2代目以降と飼育方法

初代「遊ちゃん」の死後、海遊館では高知県太平洋沿岸で捕獲されたジンベエザメを「遊ちゃん」として迎え入れるようになりました。捕獲されたジンベエザメは、まず港のいけすや海遊館海洋生物研究所（高知県土佐清水市）で、餌付けや健康チェックを行い、十分な飼育下での状態を確認してから海遊館へと移送されます。大型の個体については、体長測定や性別の確認の後、海へ帰すケースもあります。

2代目「遊ちゃん」は、1998年7月に高知県土佐清水沖で捕獲され、2000年6月に海遊館の太平洋水槽へ仲間入り。2505日間にわたる海遊館での生活の後、2007年9月13日に亡くなりました。体調不良により、搬出前に海遊館海洋生物研究所で飼育されていました。

そして現在、海遊館で展示されているのは4代目「遊ちゃん」です。2014年から海遊館でその姿を披露し、来館者を楽しませています。

「遊ちゃん」の愛称の由来

「遊ちゃん」という愛称は、一般からの公募によって名付けられました。「遊」という字には、海を自由に泳ぎ回るジンベエザメの姿が表現されていると言えるでしょう。親しみを込めた「ちゃん」付けも、来館者からの愛情を感じさせる、まさに海遊館のシンボルにふさわしい愛称です。

海遊館における「遊ちゃん」の役割

「遊ちゃん」は、海遊館の象徴的な存在として、来館者へ海洋生物の魅力を伝える役割を担っています。その巨大な姿は、人々に感動と驚きを与え、海への畏敬の念を抱かせる力を持っています。同時に、「遊ちゃん」の飼育を通して得られた知見は、ジンベエザメの生態研究にも貢献し、海の環境保全の重要性を再認識させてくれる存在でもあります。

今後の「遊ちゃん」

これからも海遊館は、「遊ちゃん」の飼育を通して、研究成果の発表や教育普及活動を通じて海の環境保全に貢献していくでしょう。未来の世代にも、ジンベエザメの素晴らしさを伝え、海の大切さを伝えていくことが期待されます。

関連項目

* 海くん（ジンベエザメ。かつて海遊館で飼育されていた個体）

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