遊山直奇

遊山直奇（ゆうやま なおき）は、日本の映像監督として、主にオリジナルビデオやインターネット配信向けのコンテンツ制作分野で活動している。自らを「SFホラーの奇才と呼ばれる日本一のB級映画監督」と称するなど、その独特な自己認識はしばしば注目される。

遊山氏は、監督業に加え、自身の手掛ける作品において企画立案から脚本執筆、そして演出までを一貫して担当することが多い。さらに、単にメガホンを取るだけでなく、コンポジット、VFX（視覚効果）、編集、合成、予告製作といったポストプロダクションを含む技術的な工程にも深く関与しており、映像制作の幅広い側面でその能力を発揮している。

彼が携わってきた作品は、そのジャンルや媒体において非常に多様である。特にホラー、サスペンス、アクションといった分野で数多くのオリジナルビデオシリーズを世に送り出しており、『逃走中/殺人ハンター』、『2ちゃんねるの呪い』関連作品、『くノ一忍戦帖』シリーズ、『やめて。』シリーズなどが代表的な作品として挙げられる。また、『モンスターパニック！UMA ZONE 未確認生物ハンター』のようなパニック作品や、『脱衣サバゲー』、『メス猫』、『エクスタシー・リベンジ』、『温泉童貞 快楽源流かけ流し』といったアダルト要素を含む作品など、対象とする観客層や内容の幅広さも彼の活動の特色と言える。これらの作品では、主に脚本と監督を務めている。

オリジナルビデオや配信コンテンツに加えて、遊山氏は劇場公開作品やテレビ番組の制作にも参加している。例えば、『ハード・リベンジ、ミリー』や特撮シリーズ『牙狼-GARO-』のコンポジット、『×ゲーム』や『日本で一番怖い話/江戸怪談』といった作品でのVFX担当、『コープスパーティ』や『リアル人狼ゲーム〜戦慄のクラッシュルーム』での合成作業など、主に技術スタッフとしての貢献が多い。また、『ほんとにあった!心霊写真』シリーズでは構成や演出を担当し、オカルトや心霊といった分野への造詣の深さも示している。その他、『五日市物語』や『東京伝説』シリーズなどの予告編製作、『JAPAN IN A DAY』のようなドキュメンタリー作品での撮影、『萌〜MEBAE』での助監督や出演など、その関わり方は多岐にわたる。さらに、『本当にあった 投稿 闇映像』シリーズなどで映像作品の監修も手掛けている。

映像関連の活動にとどまらず、遊山氏は文筆業にも力を入れている。小説『永遠星』や『レイケイ 心霊捜査IN-SPEC.#1 黒い家』を上梓したほか、SF専門誌『S-Fマガジン』に書評を寄稿するなど、文筆家としての側面も持つ。また、雑誌『ドカント』では、彼のキャリアや哲学に焦点を当てたインタビュー記事が掲載されたこともある。加えて、洋画の吹替版監督も務めており、『ウィッチ・アンド・ドラゴン』や『エンカウンター 地球外侵略者』など、複数の作品で吹替版の演出を手掛けている。

一方で、遊山氏の活動には、公に波紋を呼んだ出来事も存在する。2021年8月には、彼が手掛けていた作品の出演者から、インターネット上においてセクシュアルハラスメントおよびパワーハラスメントの被害を告発されたことが報じられた。この告発内容には、遊山氏が出演者に交際相手がいることを知った際に、「失恋した」といった感情的な理由を挙げて、一方的に作品の製作中止を通告したとされる具体的な経緯が含まれていた。この告発に対し、遊山氏はおおむね事実関係を認める姿勢を示したものの、製作中止の背景には制作費用の問題や技術的な制約といった他の理由も複合的に存在したと主張した。しかし、その後、告発に関連する自身のツイートを大量に削除したことから、その対応の説明を巡って、インターネット上でさらなる議論や批判が生じる結果となった。

遊山直奇氏は、このようにオリジナルビデオや配信コンテンツを主軸に、企画、脚本、演出、そして技術的な作業、さらには文筆や洋画吹替に至るまで、映像クリエイターとして多面的な活動を展開している人物である。B級映画やSFホラーといった特定ジャンルへの深い関わりと、公にされた不祥事といった側面を併せ持つ存在として、そのキャリアは語られている。

もう一度検索