運動靴と赤い金魚

映画『運動靴と赤い金魚』解説

『運動靴と赤い金魚』（原題: بچه‌های آسمان、英語: Children of Heaven）は、1997年に製作されたイラン映画です。モントリオール世界映画祭でグランプリを含む4部門を受賞し、第71回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされるなど、国際的に高い評価を得ました。

あらすじ

物語は、イランの貧しい家庭に暮らす少年アリが、妹ザーラの靴を修理してもらった帰り道に、誤ってその靴を失くしてしまうことから始まります。新たな靴を買う余裕がないため、アリは妹にそのことを隠し、兄妹でアリの運動靴を共有することになります。朝はザーラが運動靴を履いて登校し、昼になるとアリがサンダルで学校近くまで行き、下校途中のザーラと靴を交換して学校へ向かうという日々が続きます。

そんなある日、ザーラは学校で自分の失くした赤い靴を履いている下級生を見つけます。

登場人物

アリ:
9歳の少年。妹思いだが、親に靴を失くしたことを言えない。勉強が得意でテストで満点を取る。

ザーラ:
アリの妹。赤い靴を失くしたことを悲しむ。学校で自分の靴を履いている少女を見つける。

アリの父:
妻に優しく、庭師のアルバイトを始める。

アリの母:
腰痛持ちで家事に追われる。貧しい生活に苦労する。

アリの教師:
アリを「成績優秀でいい子」と評価する。

アリの学校の教頭:
規律に厳しく、遅刻に目を光らせている。

ザーラの学校に通う女の子:
ザーラの赤い靴を履いている。目の不自由な父親と暮らしている。

大きな家に住むおじいさん:
庭師の仕事を始めたアリの父に庭の手入れを依頼する。

移動式リサイクル業のおじさん:
アリの修理したばかりの靴をリサイクル品だと思い込んで持っていく。

スタッフ

監督・脚本: マジッド・マジディ
製作: アミール・エスファンディアリ、モハマド・エスファンディアリ
音楽: ケイヴァン・ジャハーンシャヒー
撮影: パービス・マレクサデー
編集: ハッサン・ハッサンドスト

作品の魅力

『運動靴と赤い金魚』は、貧しいながらも互いを思いやる兄妹の姿を通して、人間の普遍的な感情や家族の絆を描いた作品です。子供たちの視点から見た社会の現実や、小さな希望を胸に生きる人々の姿が、観る者の心を温かくします。マジッド・マジディ監督の繊細な演出と、子供たちの自然な演技が、物語に深みを与えています。

受賞歴

モントリオール世界映画祭 グランプリ
モントリオール世界映画祭 最優秀監督賞
モントリオール世界映画祭 観客賞
モントリオール世界映画祭 エキュメニカル審査員賞
第71回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート

関連情報

1997年の映画
* 1999年の日本公開映画

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