運命のボタン

運命のボタン

『運命のボタン』（原題: The Box）は、2009年のアメリカ映画で、リチャード・マシスンの短編小説『死を招くボタン・ゲーム』を原作としています。この作品は、道徳的ジレンマと選択の結果が人々の運命に与える影響を描いた心理スリラーです。

あらすじ

物語は1976年のクリスマスシーズン、バージニア州リッチモンドの一家で始まります。ノーマとアーサー・ルイス夫妻は、一人息子のウォルターを持つ普通の家庭です。ノーマは身体に障害を抱え、アーサーはNASAの職員として宇宙飛行士の夢を追いかけています。

ある早朝、二人の元に見知らぬ差出人から届けられた謎の箱が届きます。その中には赤いボタンの付いた装置と「夕方に伺います」というメッセージが入っていました。夫妻はその内容に戸惑いますが、夕方に現れた老人、アーリントン・スチュワードがこの装置の真相を明かします。

スチュワードは、ボタンを押すことで100万ドルを手に入れることができるが、その代償として世界のどこかにいる見知らぬ人が死ぬことになると告げます。さらに、24時間以内に決断しなければ取引が無効になるという厳しい条件も提示され、夫妻は金銭問題を抱える中で悩むことになります。最終的に、ノーマがボタンを押す決断をします。

その直後、警察に通報が入ります。通報内容は、妻が銃弾に倒れ、夫は行方不明となった事件でした。この出来事は夫妻の決断と密接に関係していることに、アーサーは気づくことになります。警察が調査を進める中、デイナというベビーシッターも真実を知ろうと試みますが、彼女も奇妙な現象に見舞われ気を失ってしまいます。

物語は、アーサーとノーマが真実の扉を求めて徐々に真相に迫っていく様子を描いています。老人と彼に仕えるたくさんの「従業員」の存在を通じて、背後に潜む物語が明らかになっていきます。アーサーは、老人の妻に案内され、3つの出口がある場所にたどり着きますが、選ばれる出口は一つだけであり、他は「永遠の破滅」へとつながると告げられます。

最後に、老人は夫妻に対し、ウォルターの障害は治らないが100万ドルを手にできる選択肢と、夫がボタンを押した結果子供を元に戻す選択肢を提示します。この選択は夫妻が直面する最大の苦難となり、彼らは深い悲しみの中で後者を選ぶことになります。

この映画は、選択がもたらす影響や道徳的ジレンマ、人間の利他主義を探求する内容で、多くの視聴者に思考を促す作品となっています。最後には、別の夫婦が新たに装置のボタンを押そうとしている様子が描かれ、物語は続いていくことを示唆しています。

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