運転代行

運転代行業とは

運転代行業（うんてんだいこうぎょう）は、飲酒、病気、観光などの理由で自動車を運転できない顧客に代わり、目的地まで自動車を運転するサービスです。「代行運転」とも呼ばれます。

社会的背景と現状

運転代行業は1963年に富山県で初めてサービスが開始されたと言われています。1980年代頃、道路交通法の改正により飲酒運転の取り締まりが強化されたことで注目を集めました。特に公共交通機関が発達していない地方や郊外で普及しています。

かつては法規制がなく、多くの業者が参入していましたが、業者間の質のばらつきが問題視されていました。中には暴力団が経営する事例も存在しました。

2002年6月には、「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」が施行され、公安委員会の認可がなければ営業できなくなりました。これにより、暴力団関係者や白タク行為者は排除されるようになりました。さらに、2004年6月からは、顧客の車を運転する際に第二種運転免許の取得が義務付けられました。2000年代以降、危険運転致死傷罪などの新設により飲酒運転への罰則が強化されたことで、都市部でも新規開業や業務拡大の動きが見られます。運転代行を行うには、所轄の警察署への申請が必要です。

業務の仕組み

運転代行業の業務は、基本的に2人1組で随伴車1台を用いて行われます。

1. 顧客から依頼を受け、待ち合わせ場所（居酒屋、駐車場など）へ随伴車で向かいます。
2. 顧客の車を預かり、2人のうち1人が顧客の車を運転し、顧客を乗せて目的地まで移動します。もう1人は随伴車で追走します。
3. 目的地に到着後、顧客に車を返却し、料金を受け取ります。

料金は距離に応じて算出されることが多く、タクシーメーターを搭載した随伴車を使用する業者もあれば、顧客車のトリップメーターで距離を測る業者もあります。料金設定は各業者が自由に決定し、自治体に届け出るシステムとなっています。

タクシー会社が代行サービスを行う場合は、随伴車の代わりにタクシーを使用し、顧客はタクシーに、運転者は顧客の車に乗って目的地へ向かいます。料金はタクシー料金に代行サービス料が加算されるため、専門業者より割高になる傾向があります。

歴史

2002年6月1日 - 「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」施行
2004年6月1日 - 運転代行の運転手に第二種運転免許の取得が義務付け

随伴車

代行業者の随伴車には、法律で以下の表示が義務付けられています。

「（都道府県名）公安委員会認定第○号（業者名）代行随伴用自動車」の文字を車両側面に表示（マグネット式は禁止）
代行運転中は顧客の車に所定の標識（代行マーク）を掲示

なお、随伴車に行燈の設置は義務付けられていません。

関連情報

自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律 - e-Gov法令検索
公益社団法人全国運転代行協会

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