道脇綾子

道脇綾子（みちわき あやこ）氏は、1946年11月に誕生した日本の教育者です。主に留学生を対象とした日本語教育の分野で長年にわたり活動し、東京外国語大学名誉教授の称号を保持しています。その教育者としてのキャリアは、日本語教育という専門分野を核としながらも、環境科学や科学教育といった関連分野にも関心を広げ、多角的な視点から教育と研究に取り組みました。

氏の学究の道は、1969年3月に千葉大学教育学部を卒業したことから始まります。その後、教育者としての実践を積む傍ら、学びへの探求心を持ち続け、2002年3月には東亜大学大学院総合学術研究科環境科学専攻の修士課程を修了しています。この大学院での学びは、環境問題に関する氏の研究活動に繋がる重要な経験となりました。

教育者としてのキャリアの出発点は、大学卒業直後の1969年4月に千葉大学留学生部物理学科で助手として勤務したことです。この初期の経験を通じて、留学生教育との関わりを深めたことが、その後の専門分野に繋がったと考えられます。1971年6月には東京外国語大学に移り、外国語学部附属日本語学校の講師として着任しました。以来、氏の教育活動の舞台は東京外国語大学が中心となります。

東京外国語大学では、教育者としての実績を積み重ね、1983年10月には助教授に昇任。さらに1990年4月には教授となりました。教授昇任当時は留学生教材開発センターに所属していましたが、1992年4月に行われた組織再編に伴い、留学生日本語教育センターの教授として、引き続き留学生への日本語教育に携わることになりました。このセンターにおいて、氏は長きにわたり、教育研究活動の中心的な役割を果たしました。

長年の教育・研究への貢献を経て、道脇氏は2009年3月に東京外国語大学を退職しました。その多大な功績が称えられ、同大学より名誉教授の称号が授与されました。

道脇氏の研究活動は、単に日本語教育の範囲に留まりませんでした。発表された論文からは、氏の幅広い学術的関心が読み取れます。例えば、2004年に発表された論文「地域ゼロエミッションにおけるセメント産業の役割－セメント産業から見た環境問題－」は、大学院で専攻した環境科学の視点から、具体的な産業と環境問題との関連性を論じたものです。また、2001年の論文「資源としてのゴミ－生ゴミ－」も、環境問題、特に廃棄物処理と資源化という重要なテーマに取り組んでいます。

さらに、1997年には「電場を利用した科学教育」という論文を発表しています。これは、科学、特に物理学分野における教育手法に関する研究であり、千葉大学時代の物理学科助手としての経験や、教育学部での専門とも関連するテーマです。これらの論文は、道脇氏が日本語教育という専門分野に加え、環境問題や科学教育といった異なる分野にも深い関心を持ち、学際的な視点から研究活動を展開していたことを示しています。

道脇綾子氏は、留学生への日本語教育者として長年にわたり献身的に活動するとともに、環境科学や科学教育といった分野にも研究の幅を広げました。東京外国語大学における氏の教育と研究のキャリアは、多くの留学生の学びに貢献し、日本語教育分野の発展にも寄与しました。名誉教授として、その功績は今後も称えられていくでしょう。

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