道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48

道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48

『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』は、2016年に公開された日本のドキュメンタリー映画であり、女性アイドルグループ・NMB48を題材とした初の作品です。制作を手がけたのは、数々の社会派ドキュメンタリーを手掛けてきた舩橋淳監督で、彼はアイドルの世界に初めて脚を踏み入れることとなりました。

監督は、福島の原発事故を背景にした映画『フタバから遠く離れて』などで名を馳せており、ベルリン国際映画祭にも数度招待されるなどの経歴を持っています。本作では、アイドルに関する基礎知識が乏しかった舩橋監督が、NMB48のことを知り、彼女たちの魅力を観客に伝えることを目指していました。このため、ファンにとっては当然のシステムについても丁寧にナレーションで解説されており、初心者でも理解しやすい内容になっています。

本作は、2010年に行われたNMB48の第1期生オーディションから2015年までの5年間にわたる彼女たちの姿を追った記録です。特に山本彩、矢倉楓子、沖田彩華、須藤凜々花の4人に焦点を当て、彼女たちの成長や葛藤が映し出されています。例えば、須藤は哲学者ニーチェやJ・S・ミルの言葉を引用しながら「アイドル哲学問答」を朗読する特別なシーンがあり、視聴者にアイドルという存在が持つ意味や背景を考えさせます。

さらに、矢倉と白間美瑠の対決に関するエピソードも描かれています。矢倉は白間とライバル視されることで感じる複雑な思いを素直に語っており、アイドルとしての競争の厳しさを垣間見ることができます。また、沖田は選抜メンバーに選ばれない「非選抜メンバー」としての苦悩を抱えており、彼女のファンたちが劇場支配人に直訴するシーンも印象に残ります。物語の終盤では、沖田が14作目のシングルで初めて選抜メンバーに選ばれる瞬間が描かれ、感動的なクライマックスを迎えます。

映画は、第40回香港国際映画祭の「I See it My Way」部門に公式出品されたこともあり、アイドルドキュメンタリーとして新たな可能性を示すものでした。2016年4月3日には記者会見と上映会が開かれ、主演の山本彩、矢倉楓子、舩橋淳監督が登壇しました。

この作品は、NMB48の成り立ちや彼女たちが抱える課題、夢の実現に向けた努力を描き出しており、アイドルファンだけでなく多くの人々に楽しんでもらえる内容となっています。彼女たちの情熱や友情に触れることで、アイドルという存在への理解が深まること間違いなしです。

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