道頓堀川 (映画)

映画『道頓堀川』の詳細

1982年に公開された『道頓堀川』は、深作欣二監督が手がけた日本映画で、松坂慶子と真田広之が主演を務めています。この作品は宮本輝の同名小説を基に制作されており、特に大阪の繁華街である道頓堀を舞台にし、恋愛や人間関係、そして賭博文化を描いています。

あらすじ

物語は道頓堀川沿いの夜景から始まります。絵を描くために訪れた美術大学生の邦彦（真田広之）は、犬の散歩中に着物姿のまち子（松坂慶子）と出会います。邦彦は母を亡くしたばかりで、父を早くに失い祖母と二人三脚で成長してきた孤独な青年です。一方、まち子もまた家族を持たず、彼女自身も心の内に寂しさを抱えています。これらの出会いを通じて、二人は次第に惹かれ合うことになります。

邦彦は武内という喫茶店で働いており、そのマスターはかつての名ハスラーでした。武内の息子・政夫は、ハスラーの道を志すものの、父の意向を無視して賭けビリヤードに挑む日々を送っています。賭けビリヤードではナインボールが採用されており、勝者は先に5勝した者となり、大金が動く緊迫した勝負が繰り広げられます。

邦彦とまち子の関係が深まる中、政夫は東京で行われるハスラー大会に参加するために資金を集める必要に迫られます。しかし、彼は自身の夢のために邦彦の信頼を裏切り、まち子を騙して150万の資金を奪うことによって東京に旅立つ決断をします。

主要人物たちの葛藤

邦彦は親友の裏切りに心を痛め、まち子との関係に悩むことになります。彼は出て行くことを決め、旅立つ準備を始めますが、同時にまち子との未来についても考えなければなりません。武内は息子とのハスラー対決を通じて、過去の自分と向き合い、彼の成長を見守る親としての役割を果たします。ビリヤードという賭博の中で、親子の絆や友情、愛情が試されるストーリーが展開されます。

政夫とのビリヤードの対決は、親子の関係を一層深め、武内は未練を断ちきるために全力で戦います。ラストでは、邦彦が政治の借金によってどのような決断を下すのかが、物語のクライマックスとなります。道頓堀の華やかさと裏に潜む人々の孤独と希望が織り交ぜられた心に響くストーリーです。

映画の評価

『道頓堀川』は興行的には成功とは言えませんでしたが、深作監督の手によって描かれた人間模様、そして登場人物たちの深いドラマは観客に感動を与えています。特に、道頓堀という独特の場所に設定された背景が、物語に色を添える重要な要素となっていることも忘れてはなりません。

もう一度検索