遙かなる帰郷

遙かなる帰郷（La tregua）

『遙かなる帰郷』は、1997年に制作されたイタリア・フランス・ドイツ・スイス合作の映画で、監督はフランチェスコ・ロージが務めています。この作品は、アウシュヴィッツ強制収容所から解放されたイタリアのユダヤ人作家プリーモ・レーヴィの実体験に基づく記録文学『休戦』（原題：La tregua）を映画化したものであり、レーヴィが故郷のイタリアに戻るまでの8か月間の旅路を描いています。

あらすじ

物語は1945年1月、第二次世界大戦の真っ只中に始まります。アウシュヴィッツから解放されたプリーモ・レーヴィは、自由を手に入れたものの、その自由がもたらす喜びと戸惑いの狭間で揺れ動きます。彼は一人でヨーロッパを横断して帰郷の旅に出ますが、その道のりには多くの人との出会いが待っています。

彼が訪れる町々では、様々な人々の優しさや友情に触れることで、再び“生”の素晴らしさを見出していきます。本作では、友情や愛、そして人間の強さが大きなテーマとして描かれており、彼の内面的な成長と再生の過程が表現されています。

キャスト

• - プリーモ・レーヴィ役：ジョン・タトゥーロ（吹替：平田広明）
• - モルド役：ラデ・シェルベッジア（吹替：小川真司）
• - ロヴィ大佐役：テコ・セリオ（吹替：宝亀克寿）
• - チェザーレ役：マッシモ・ギーニ（吹替：後藤敦）
• - ダニエーレ役：ステファノ・ディオニジ
• - フェラーリ役：クラウディオ・ビシオ
• - イリーナ役：タチアナ・メスシェルキナ（吹替：落合るみ）
• - ガリーナ役：アグニェシュカ・ヴァグネル
• - フローラ役：ロレンツァ・インドーヴィナ

このように、豪華なキャストが物語を支え、視聴者に強い感情を呼び起こします。

受賞歴

本作は第42回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、映像作品としての優れた評価を受け、作品賞や監督賞を含む複数の賞を受賞しました。また、1997年度のイタリア・ゴールデングローブ賞においても撮影賞を獲得し、そのクオリティが高く評価されています。

備考

興味深いことに、原作者のプリーモ・レーヴィは、映画化の企画が進行中の際、これを非常に喜んでいました。しかし、彼は企画発表の1週間後に事故で亡くなっています。彼の死因についてはさまざまな説がありますが、確定的な証拠は残されていません。このような背景が作品にさらに深い意味を与えています。

本作『遙かなる帰郷』は、単なる歴史的な物語ではなく、人間の尊厳、友情、希望を描いた感動的な作品として多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索