遠山美都男

遠山美都男について

遠山美都男（とおやま みつお）は、1957年東京都生まれの歴史学者です。日本古代史を専門とし、博士（史学）の学位を有しています。現在は、学習院大学、日本大学、立教大学で非常勤講師を務め、後進の指導にもあたっています。

研究内容

遠山氏の研究は、日本書紀の記述に対する批判的な視点に基づいています。特に、継体天皇以前の記述については、史実に基づいたものではなく、大和朝廷の正統性を主張するために創作された物語であるという見解を示しています。また、日本書紀には中国の歴史書からの模倣が見られることも指摘しています。

邪馬台国の女王卑弥呼についても、従来の説とは異なる解釈を提示しています。遠山氏は、「卑弥呼」は個人の名前ではなく、「ヒミコ」または「ヒメコ」という官職名であり、中国側がそれを誤って記録したに過ぎないと主張しています。卑弥呼の本名については不明であるとしています。

主な著書

遠山氏は、これまでに数多くの著書を出版しており、その研究成果を広く社会に発信しています。主な著書には以下のようなものがあります。

『大化改新―六四五年六月の宮廷革命』 (中公新書、1993年、全面改訂版2022年)
大化改新を詳細に分析し、その歴史的意義を再評価した著作。
『聖徳太子はなぜ天皇になれなかったのか―厩戸皇子と蘇我氏四代の謎』 (大和書房、1995年)
聖徳太子が天皇になれなかった理由を、蘇我氏との関係から考察した著作。
『壬申の乱―天皇誕生の神話と史実』 (中公新書、1996年)
壬申の乱を、天皇制成立の視点から捉え直した著作。
『白村江―古代東アジア大戦の謎』 (講談社現代新書、1997年)
白村江の戦いの背景と影響を、東アジアの視点から分析した著作。
『天皇誕生―日本書紀が描いた王朝交替』 (中公新書、2001年)
日本書紀が描く王朝交替の物語を批判的に読み解き、その虚構性を指摘した著作。
『卑弥呼の正体―ついにそれが明かされた！』(洋泉社新書、1999年)
卑弥呼に関する従来の説を覆し、官職名であるという独自の解釈を提示した著作。
『古代の皇位継承―天武系皇統は実在したか』 (吉川弘文館、2007年)
天武天皇による皇位継承の正統性に疑問を投げかけた著作。
『蘇我氏四代―臣、罪を知らず』 (ミネルヴァ書房、2006年)
蘇我氏の歴史を再検証し、彼らの冤罪を指摘した著作。
『天平の三姉妹―聖武皇女の矜持と悲劇』(中公新書、2010年)
聖武天皇の皇女たちの生涯を通して、奈良時代の政治と社会を描いた著作。
『天智と持統』(講談社現代新書、2010年)
天智天皇と持統天皇の治世を詳細に分析し、彼らの功績と課題を検証した著作。
『日本書紀の虚構と史実』(洋泉社、歴史新書y、2012年)
日本書紀の記述を批判的に検証し、その虚構性と史実性を区別しようとした著作。


これらの著作を通じて、遠山氏は古代史研究に新たな視点を提示し、歴史に対する深い理解を促しています。

メディア出演

遠山氏は、テレビ番組にも出演し、歴史解説を行っています。NHKの「その時歴史が動いた」や、BS-TBSの「にっぽん!歴史鑑定」などで、その知見を活かした解説を披露し、歴史ファンに新たな知識を提供しています。

遠山氏の研究の特徴

遠山氏の研究の特徴は、日本書紀の記述を鵜呑みにせず、批判的な視点から歴史を読み解こうとする姿勢にあります。また、文献史料だけでなく、考古学的な知見や中国の歴史書なども参照しながら、多角的な視点から古代史を考察しています。その結果、従来の通説にとらわれない、独創的な歴史解釈を提示している点が、多くの歴史ファンや研究者から注目されています。

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