遠征王

遠征王シリーズ

『遠征王シリーズ』は、高殿円氏によって描かれたライトノベル作品です。麻々原絵里依氏がイラストを手掛けています。

ストーリー

物語は、神聖パルメニア王国の女王、アイオリアI世を中心に展開されます。彼女は常に男装をまとい、その生涯は「遠征王」と呼ばれるにふさわしい波乱に満ちたものでした。女王アイオリアの生き様、そして彼女を取り巻く人々の運命が描かれています。

登場人物

主要人物

アイオリア＝メリッサ＝アジェンセン

本作の主人公。神聖パルメニア王国の女王であり、物語開始時は22歳。愛称はオリエ。男装の麗人であり、後宮には多くの愛妾（女性）を抱えています。陽気で自由奔放な性格で、年上の「いとこどの」ことゲルトルードを最愛の人と公言して憚りません。趣味は温泉巡りで、それが原因で騒動に巻き込まれることもしばしば。過去の結婚が、パルメニアに内憂外患をもたらす原因となっています。黒髪赤眼で、宝剣に宿る炎の精霊エヴァリオットを守護精霊としています。

ゲルトルード＝イベラ＝グランヴィーア

グランヴィーア大公。物語開始時は23歳。愛称はキティ。存命するスカルディオの中で最も濃い血を受け継いでおり、何かと不在がちなアイオリアに代わって内政を取り仕切ります。冷静で時に冷酷とも評される性格ですが、母方のいとこであるアイオリアには特別な感情を抱いています。後にアイオリアの後を継ぎ、グランヴィーア朝初代ゲルトルードI世として即位します。スカルディオ特有の銀髪紫眼を持ち、闇の精霊ベルディナッドを守護精霊としています。

ナリス＝イングラム

元侍従で、アイオリアの後見であるヒルデブラント侯爵家と縁のある王騎士。銀騎士とも呼ばれる貴公子で、アイオリアを深く愛していますが、彼女の奔放さゆえに報われないことが多い人物です。アイオリアとの間には重要な秘密を抱えています。金髪碧眼の持ち主です。

ミルザ＝バルバロッサ＝ローメンワイザー

帝政ホークランドの将軍であり、かつてパルメニアに併呑されたシレジアの元王太子。祖国が滅ぼされた際、唯一の生き残りとなりました。その後、諸国を放浪し、傭兵としてホークランド皇帝に仕えます。暗殺を主な任務としていたため、「蠍のミルザ」という異名を持ちます。過去にアイオリアと結婚していました。

用語解説

スカルディオ

神聖パルメニア王国の初代国王、オリガロッド＝スカルディオの血を引く一族。色素の薄い髪と碧眼が特徴で、「青い血」や「精霊の一族」とも呼ばれます。ゲルトルードのような銀髪はスカルディオ特有であり、尊ばれます。しかし、血統を重んじるあまり、血族結婚や選民思想などの弊害も生じています。

アジェンセン

パルメニアの北方に位置する大公国。元はパルメニアの属国でしたが、アイオリアの祖父であるルシードがパルメニアに攻め込み、国王として即位しました。アジェンセン大公は国王が兼任することになっています。征服という経緯から、アジェンセン大公家の特徴である黒髪橙眼はスカルディオに忌避される傾向があります。
星石の精霊
パルメニアの占星術において、星の中でも強い力を持つとされる宝石星が地上に落ちたときに宿るとされる精霊。
ふさわしい主を選び守護すると考えられている。
バルビザンデ…黄星。王冠を飾っている大きな金色のダイヤモンドで、オリガロッドの子孫を守護するという。
ミゼリコルド…蒼星。大粒のサファイア。
エヴァリオット…朱星。大粒のルビー。アイオリアを二人目の主と認めた（初代の持ち主はオリガロッドの弟・シングレオ）。
ベルディナッド…闇星。ゲルトルードを守護している。

既刊

角川ビーンズ文庫より以下の作品が刊行されています。

ジャック・ザ・ルビー 遠征王と双刀の騎士
エルゼリオ 遠征王と薔薇の騎士
ドラゴンの角 遠征王と片翼の女王
尾のない蠍 遠征王と流浪の公子
運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士
〈番外編〉遠征王と秘密の花園
〈番外編〉黎明に向かって飛べ

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