遠藤誠一

遠藤誠一について

遠藤誠一（えんどう せいいち、1960年6月5日 - 2018年7月6日）は、元オウム真理教の幹部であり、獣医師でもあった。北海道札幌市に生まれ、ホーリーネームは「ジーヴァカ」として知られている。彼は教団内では正悟師の地位にあり、後に厚生省大臣を経て、第一厚生省大臣を務めていた。しかし、松本サリン事件と地下鉄サリン事件の実行犯として死刑判決を受けたことが広く知られている。

幼少期と教育

遠藤はキリスト教系の幼稚園で育ち、少年時代からスポーツに親しむ活発な性格であった。彼は特に動物に対する愛情が深く、獣医師を目指すようになったのもこの頃からである。帯広畜産大学で獣医学を学び、成績は優秀だった。また、分子生物学に触れたことから、遺伝子工学への興味を持つようになる。大学院では遺伝子工学を専攻し、京大での研究も続けた。

オウム真理教との出会い

大学院時代に麻原彰晃の著書に触れ、スピリチュアルな体験を経て、1987年にオウムに入信する。入信後の彼は、麻原に対して強い影響を受け、教団の中での地位を確立していく。1988年には正式に出家し、教団内のバイオテクノロジー研究を担当することになる。

教団内での活動

出家後、遠藤は教団の科学部門の実質的な責任者として地位を高め、厚生省大臣へと上り詰めた。彼は「愛のイニシエーション」を開発し、同時に食料製品の開発にも携わった。急速に教団内での影響力を増したが、やがて生物兵器の開発に関与することとなり、その過程で失敗が続く。

事件への関与

松本サリン事件（1994年6月）や地下鉄サリン事件（1995年3月）など、彼はこれらの事件に直接関与した実行犯として知られる。特に地下鉄サリン事件では、サリンの製造にも関わった。彼の担当する研究施設では、生物兵器や化学兵器の開発が行われ、彼自身もサリン製造の責任者として重要な役割を果たした。

逮捕と裁判

1995年に逮捕された際、遠藤は麻原の行動に疑念を抱きつつも、自身の立場を守るために教団への協力を続けた。裁判では当初、悔悟の念を表しつつも次第に証言が変わり、自らの役割を小さく見せようとする態度が見られた。結果、2002年にその死刑が確定した。

晩年と死刑執行

彼は死刑確定後、静かに生活し、多くのことを語ることを拒絶した。しかし、晩年においても麻原への帰依心を完全には捨てきれなかったという。2018年7月6日に57歳で死刑が執行され、遺骨は故郷の海に散骨された。

関連事件と評価

彼の経歴は多数の事件に関与し、オウム真理教事件の一端を担ったことが評価に影を落としている。彼は優れた科学者であったが、その才能を悪用した結果、多くの人々に危害を加えることとなった。その結果、彼の人生は悲劇的な幕を閉じることになった。

もう一度検索