遮蔽道

遮蔽道（しゃへいどう）について

遮蔽道とは、近世ヨーロッパにおける星形要塞の設計に関連する用語であり、主に要塞の城壁を囲む堀の対岸に位置する外縁壁（コントルエスカルプ）の上に設けられた通路を指します。この通路は、敵からの攻撃を避けるために設計され、軍事的な防御構造の一部として機能しています。

構造

遮蔽道は通常、城壁と堀を取り囲む形で設けられており、斜めに土盛りされた斜堤によって、敵の砲撃から守られているのが特徴です。特に、星形要塞の凹型部分には、外側に向かって三角に突き出たスペースが設けられ、ここでは武器や物資の保管が行われていました。このスペースは要塞の防衛だけでなく、攻撃を行う際の兵員の集合地点としても利用されることが意図されていました。

遮蔽道には、城内からアクセスするための切れ目や隠し戸が設けられ、また堀に橋や堤を渡すことで移動が可能にされていました。堀の底から外縁壁へは階段やはしごが使われ、斜堤の土盛りには出口が作られていました。これにより、兵士が遮蔽道を通じて堀の外へと出ることができるようになっています。

用途

遮蔽道は多くの目的に利用されました。具体的な使い道は以下の通りです：
1. 敵の攻撃から守られた通路として、実戦時に要塞の外へ兵力や武器を安全に移動させる。
2. 堀の外側に最前線の監視地点を設置することで、敵の動向を監視する。
3. 外に向けた攻撃を行う際、兵員や武器の集結地点として活用する。
4. 敵の障害物を排除し、搬送スペースや一時収容所として機能させる。
5. 斜堤を利用して低位置からの砲撃や射撃を行うことが可能。

なお、要塞外に設けられた堡塁設備には、遮蔽道のような大型の通路は設置されていないものの、幅1〜2メートルの狭い通路がまわりに作られ、監視や守備隊による前線の陣取りが可能とされていました。このように、遮蔽道は攻撃性と防御性を兼ね備えた重要な軍事施設であり、要塞の運営において不可欠な役割を担っていました。

参考文献

• - James, Charles (1802). A New and Enlarged Military Dictionary. London: T. Egerton.
• - Hartwig Neumann (1994). Festungsbaukunst und Festungsbautechnik. Bernard und Graefe, Bonn.
• - Stephen C. Spiteri (2010). Illustrated Glossary of Terms used in Military Architecture. MilitaryArchitecture.com.

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