那由他 (漫画)

『那由他（なゆた）』について

『那由他』は、著者佐々木淳子による少女漫画で、1981年から1982年にかけて小学館の『週刊少女コミック』に連載されていました。この作品は、後にOVAとしても制作され、1986年にリリースされました。全3巻にまとめられた漫画は、単なる青春物語にとどまらず、超能力と宇宙人が絡む壮大なサーガへと発展していきます。

概要

物語の中心には、平凡な高校生の少女・那由他がいます。彼女は、ある日不思議な少年キロと出会うことで、「輪」と呼ばれるアイテムを手にします。この「輪」は、超能力を発揮するためのもので、やがて彼女はそれを巡る秘密の戦闘に巻き込まれます。物語が進むにつれて、彼女はただの二つの勢力による争いを越え、宇宙規模のテーマまで絡ませる内容へと成長します。

佐々木淳子は、もともと1979年に原案を完成させていましたが、最初の連載機会を得た際に別の作品が選ばれ、実際に『那由他』が連載されるのはその二年後となりました。この作品に取り組むにあたり、彼女は物語の結末を最初に考え、それに向けて全体を構築する手法を取りました。このアプローチは、読者に意外性を提供すると同時に、キャラクターの背景や発展に対する不満の声も生み出しました。

2001年には、文庫本として再リリースされ、さらに特別収録として、佐々木が1974年に発表した短編『テレポート』が加えられています。この短編では、瞬間移動の能力やその影響についての洞察が描かれ、アートの深みをより一層引き立てています。2002年には、関連作品として『那由他』の外伝が書き下ろしされ、さらに物語の裏に広がる真実が明かされています。

物語の流れ

ごく普通の日常を送る那由他は、キロと出会ったことで彼女の運命は大きく変わります。「輪」を手にしたことで彼女は自身の超能力を開花させることになり、他の超能力者たちがアザドーと呼ばれる怪物と戦っていることを知ります。最初はその戦いに参加することをためらう東京生まれの彼女ですが、キロがアザドーの側についたことで両親を失った彼女は、リョータローたちの元へ身を寄せ、やむを得ず闘いに加わります。

物語は次第に、彼女の背後に潜むアザドーの正体や、キロが人類を敵視した経緯、そしてこの戦争の本当の理由へと迫ります。彼女は成長し、戦いの中で自らの超能力を制御し、新たな力を手に入れることで、物語の中心となります。

キャラクター

• - 柳原那由他（やなぎはら なゆた）：高校1年生で、超能力を持つ少女。彼女の能力は過去の出来事を疑似体験させ、やがて肉体の制御も可能になる。
• - キロ：那由他が出会った雨の日に現れた少年。超能力者であり、輪の効果で急速に成長し、その後アザドー側へと転向。
• - ソズ：三千年前から生き続けるテレパシー能力者。那由他やリョータローと共に戦う仲間。
• - リョータロー：テレポート能力者で、那由他をソズ・テリトリーに導く。
• - ディー：孤児として育った少女で、独自にアザドーとの戦いに備えるリーダー。
• - ターン：三千年前の子供で、当時の最強の力を持ち、アザドーの側に仕えることになる。

アニメ化と音楽

『那由他』は1986年にOVAとしてアニメ化され、視聴者の間で評価されました。このアニメは原作のストーリーに基づいて製作されましたが、省略や設定の変更もあったため、一部のファンからは異論が唱えられました。それでも、作品の主題歌は美しいメロディと共に、視聴者の心に残る作品となっています。

このように、『那由他』はただの少女漫画を超え、スケールの大きな物語と個性豊かなキャラクターたちによる深いテーマを探求した作品であり、多くの読者と視聴者に愛されています。

もう一度検索