郷司裕

郷司裕：日本の高校野球史に名を刻んだ名審判

郷司裕氏は、1932年北海道釧路市に生まれ、2006年74歳で亡くなりました。日本の高校野球界を代表する審判員として、その名を長く記憶されています。明治大学在学中には野球部員として活躍しましたが、病気により選手としての道を断たれ、監督から審判への転身を勧められました。

大学卒業後、日本放送協会（NHK）に入社し、運動部記者として勤務した後、家業を継ぐため退職。しかし、野球への情熱は消えず、アマチュア野球審判員としてのキャリアをスタートさせました。

高校、大学、社会人野球と、実に50年以上もの間、2000試合を超える数多くの試合で審判を務めました。その中でも特に注目を集めたのが、夏の甲子園での活躍です。決勝戦の球審を13回も務め、1965年から1975年にかけては春夏連続11年間も決勝戦の球審を務めるという偉業を成し遂げました。彼の正確で公平なジャッジは、多くの選手や関係者に信頼され、数々の名勝負を彩りました。

郷司氏の次男によると、プロの審判員にならなかったのは家業を継ぐためだったそうです。しかし、アマチュア審判員として第一線で活躍を続けたことは、プロの審判員にも劣らない献身と情熱を示しています。

興味深いことに、郷司氏は俳優の高倉健氏と明治大学の同級生でした。二人の友情は、長く続く野球人生においても大きな支えになったことでしょう。

審判引退後も、日本高等学校野球連盟で審判規則委員や理事などを務め、後進の指導にも尽力しました。長年にわたる審判活動、そして野球界への貢献は、2017年度の野球殿堂特別表彰という形で高く評価され、その功績は後世に語り継がれることでしょう。

郷司氏が担当した主な試合には、延長22回にも及んだ都市対抗野球大会の試合や、昭和天皇ご夫妻が天覧された都市対抗野球大会の試合、怪物江川選手の23奪三振を記録した高校野球選手権大会の試合などが挙げられます。これらの試合における郷司氏の冷静なジャッジは、試合をさらに盛り上げ、記憶に残る名勝負として語り継がれています。

郷司裕氏の生涯は、野球への深い愛情と、審判員としての揺るぎない信念、そしてプロ意識の高さを示すものです。彼の功績は、日本の高校野球史に永遠に刻まれるでしょう。 彼の正確なジャッジと、長年にわたる献身的な活動は、多くの野球関係者やファンに深い敬意と感謝の念を抱かせ続けています。

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