都市再生本部

都市再生本部（としさいせいほんぶ）

都市再生本部（Urban Renaissance Headquarters）は、日本の内閣に設置されている重要な行政機関の一つです。主として、都市の再生に関するさまざまな政策を総合的かつ強力に推進することを目的としています。2001年の設置当初は閣議決定に基づく組織でしたが、翌2002年に施行された都市再生特別措置法により、法的な根拠を持つ組織として位置づけられました。

設置の背景と経緯

都市再生本部設置の動きは、2001年4月6日に政府の経済対策閣僚会議で決定された「緊急経済対策」に端を発します。この経済対策において、環境保全、災害への備え、国際競争力の強化といった視点から、今後の日本の都市が目指すべき「21世紀型都市再生プロジェクト」の推進や、土地の有効活用を含む都市再生に関する施策を、より効果的かつ強力に進める必要性が認識されました。そのための体制として、内閣に都市再生本部を設置することが方針として打ち出されました。

この方針を受け、同年5月8日には「都市再生本部の設置について」と題する閣議決定が行われ、これに基づいて内閣に都市再生本部が正式に発足しました。発足から間もない5月18日には、早くも第1回の会合が開催され、本格的な活動が開始されました。さらに、都市再生に関する施策推進の法的基盤を強化するため、2002年6月1日には都市再生特別措置法が施行され、都市再生本部は法に基づき設置される組織となりました。

目的と主な施策

都市再生本部の主要な目的は、時代のニーズに応じた都市のあり方を追求し、活力にあふれ、安全で快適な都市空間を創出することにあります。そのため、都市の再生に関連する施策は、大きく以下の3つの柱を中心に展開されています。

1. 都市再生プロジェクトの推進: 象徴的な大規模都市開発事業や、環境改善、防災力強化に資する事業など、「21世紀型都市再生プロジェクト」として位置づけられる重要な取り組みを積極的に推進します。
2. 民間都市開発投資の促進: 民間事業者による都市開発への投資を活性化するための環境整備や、必要な支援措置を講じ、官民連携による都市再生を促します。
3. 全国都市再生の推進: 特定の拠点都市だけでなく、日本全国のさまざまな地域における都市再生を支援し、地域ごとの特性に応じたまちづくりを進めます。

これらの主要な施策を推進すると同時に、実際に都市再生の計画策定や事業実施を担う地方公共団体や民間事業者などを積極的に支援することも、本部の重要な活動の一環です。

組織構成と所掌事務

都市再生本部は、総理大臣をトップとする強力な体制で運営されています。

本部長: 内閣総理大臣が務めます。
副本部長: 内閣官房長官、内閣府特命担当大臣（地方創生）、国土交通大臣が就任します。
本部員: 本部長および副本部長以外の全ての国務大臣が参加します。

このように、全ての閣僚が構成員となることで、関係省庁横断的な連携を強化し、都市再生に関する諸課題に一体的に取り組むことが可能となっています。

都市再生本部の所掌事務は多岐にわたりますが、主なものとしては以下の点が挙げられます。

都市再生に関する基本的な方針案を作成し、その実施を推進すること。
特定の地域を「都市再生緊急整備地域」として指定するための政令案を立案し、当該地域の整備方針策定やその実施を推進すること。
都市の再生に関する施策のうち、特に重要であると判断されるものの企画、立案、および関係省庁間の総合調整を行うこと。

本部の実務を支える事務局は、内閣府に置かれている地方創生推進事務局と、内閣官房に置かれているデジタル田園都市国家構想実現会議事務局が共同で担っています。これらの事務局は、地域再生本部とも連携しており、地方創生や地域活性化とも密接に関連した業務を行っています。

都市再生本部は、都市の持続可能な発展と魅力向上に向けて、政府の中枢として重要な役割を果たしています。

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