都市対抗野球大会 (満洲)

都市対抗野球大会における満洲勢の戦績

都市対抗野球大会の長い歴史において、かつて満洲地域から参加したチーム群が残した足跡は、非常に特筆すべきものです。これらのチームは、大会の初期から終戦までの期間にわたり、日本の強豪都市チームと熱戦を繰り広げ、数々の印象的な記録を残しました。

概略

都市対抗野球大会に現在の形に近い予選制度が導入された際、広大な満洲地域にはまず一つの代表枠が割り当てられました。特に大会のごく初期段階において、大連市を代表するチームがその実力をいかんなく発揮し、第1回大会から第3回大会にかけて、前人未到となる3年連続での本大会優勝という偉業を成し遂げました。この大連勢の圧倒的な強さと活躍は、満洲地域の野球レベルの高さを証明するものであり、その結果、1935年に開催された第9回大会からは、代表枠の拡大が図られることになりました。具体的には、大連市に単独で1枠が与えられ、その他の満洲地域全体でさらに1枠が設けられ、合計2チームが本大会に出場する権利を得ることになりました。

しかし、時代は戦争へと向かい、1939年の第13回大会では、大陸における戦線の悪化という状況を受け、満洲からの出場予定チームのうち2チームがやむなく参加を辞退するという事態も発生しました。このような困難な状況に見舞われた時期がありながらも、太平洋戦争の終結によって都市対抗野球大会が一時的に中断されるまで、満洲勢は前述の辞退のケースを除き、開催された全ての大会に代表チームを送り出し続けました。そして、これらの大会を通じて、満洲勢は通算で優勝3回、準優勝3回という、極めて優れた、まさに華々しいと呼ぶにふさわしい成績を収めました。

通算成績

都市対抗野球大会における満洲勢の通算成績は、第16回大会までの記録に基づいています（ただし、中止となった第15回大会は含まれません）。この期間における詳細な成績は以下の通りです。

延べ出場回数: 19回

複数のチームが出場した大会や、異なる年度に同じ都市のチームが出場した回数を合計すると、満洲勢は延べ19回、本大会の舞台に立っています。

優勝回数: 3回

初期の大連勢による3連覇が、満洲勢が獲得した全ての優勝回数となります。これは大会史における一つの金字塔と言えます。

準優勝回数: 3回

優勝には届かなかったものの、決勝に進出し惜しくも敗れた大会が3回ありました。これもまた、当時の満洲野球レベルの高さを裏付ける記録です。

通算勝敗: 38勝16敗1分

本大会での全ての試合を通算すると、満洲勢は38勝を挙げ、16敗、そして1引き分けという成績を残しました。これは他地域の強豪チーム相手に大きく勝ち越していたことを示しています。

* 通算勝率: .691

通算勝敗から算出される勝率は.691という高い数字を記録しています。これは大会全体を見ても非常に優れた勝率であり、満洲勢がいかに強力な存在であったかを物語っています。

他地域勢との対戦成績

満洲勢が本大会で日本の他地域のチームと対戦した記録を詳細に見ると、その強さがさらに明確になります。延べ55試合の対戦が行われ、その内訳は満洲勢の38勝に対し、相手チームは15勝、そして1引き分けでした。これは、他地域勢から見た場合は15勝38敗1分となります。満洲勢が圧倒的に勝ち越しており、当時の満洲野球が日本の最高峰レベルに匹敵、あるいは凌駕する実力を持っていたことを如実に示しています。

なお、この他地域勢との対戦成績には含まれていませんが、本大会のトーナメントの中で、過去に満洲勢同士が直接対戦した試合が2度ありました。

歴史的意義

都市対抗野球大会における満洲勢の参加とその輝かしい戦績は、戦前の日本の野球界における地理的な広がりと、満洲地域での野球の普及・レベルの高さを物語っています。特に初期の大連勢の連続優勝は、大会の知名度向上にも大きく貢献したと言えるでしょう。遠隔地から本大会に参加すること自体の困難さ、そしてそこで挙げた圧倒的な成績は、都市対抗野球の歴史における満洲勢の特別な位置づけを確立しています。これらの記録は、今なお大会の貴重な一頁として記憶されています。

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