都心直結線

都心直結線について

都心直結線は、京成押上線と都営地下鉄浅草線の押上駅から、東京駅を経由して泉岳寺駅に至る約11kmの鉄道路線計画です。この路線は大深度地下を通り、途中に新東京駅を設置することが予定されています。都心から成田空港と羽田空港へのアクセスを効率化することを目指しており、東京駅を出発し、両空港にそれぞれ30分程度でアクセス可能となることが整備目標とされています。

構想の背景

都心直結線の計画は、都営浅草線の東京駅接着の必要性を認識したことから始まりました。2000年1月、運輸政策審議会の答申により、東京駅と地下鉄の接続が求められ、その後、様々なルート案が検討されてきました。最も有力とされたのは、八重洲通り地下を利用する案でしたが、結果として新東京駅を設置する形での計画が進められることとなりました。

計画内容

都心直結線は、押上駅から泉岳寺駅までを結び、この途中に新東京駅が設けられます。建設費用は4000億円を超える見込みで、PFI（Private Finance Initiative）制度を活用する方針です。また、特に意識されているのはラッシュ時の運行本数で、現在1時間あたり24本の運行を、都心直結線の導入によって28本に増発する計画が立てられています。直通運転を行う京成電鉄や京浜急行電鉄との接続も円滑に行えるようにする予定です。

利便性の向上と混雑の懸念

都心直結線の導入により利便性が向上する一方で、浅草線の運行本数の減少が懸念されています。特に朝の通勤ラッシュ時には、利用者が都心直結線に流れることで浅草線の混雑が緩和されない可能性が指摘されています。このため、あらかじめ運行体制を考えた上での調整が重要とされています。

過去の経緯

計画の具体化に関しては、2001年に国土交通省が「首都圏の空港アクセス緊急改善対策」を公表したことが大きなきっかけとなりました。以降、様々な議論を経て、2003年には5つの案が提案され、再開発一体整備案が有力視されました。しかし、2007年以降、成田と羽田空港の連携を強化する意図から新たな案の検討が始まりました。

現在の状況

2013年度からは国土交通省の予算で調査が進められていますが、東京都の消極的な姿勢も影響し、計画は凍結状態にあります。特に、当時の東京都知事は必要性に疑問を呈し、計画の見直しを示唆しています。

将来的な展望

都心直結線は、東京都心と成田・羽田空港を結ぶ重要なプロジェクトであることは間違いありません。しかし、今後の具体的な進展については、東京都の交通網整備計画や収支採算性の結果に大きく依存しています。国際競争力の強化に寄与する存在として期待されているだけに、適切な議論と計画の再評価が求められる状況です。

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