酔いどれて

酔いどれて

「酔いどれて」は、1989年4月12日に東芝EMIより発売された、韓国出身の演歌歌手、桂銀淑（ケイ・ウンスク）の日本における通算5作目のシングル楽曲です。この表題曲は、桂銀淑ならではの深く情感のこもった歌声によって表現され、同年の日本の音楽シーンにおいて大きな存在感を放つ作品となりました。

楽曲のリリースと背景

本楽曲がリリースされた1989年は、桂銀淑が日本でのキャリアを着実に築き上げていた時期にあたります。デビュー以来、その独特のハスキーボイスと卓越した歌唱力で、日本の歌謡界において独自の地位を確立しつつありました。「酔いどれて」は、彼女のそんな円熟期とも言える時期に発表され、作家陣には作詞に情感豊かな詞で知られる吉岡治、作曲に多くのヒット曲を生み出した浜圭介、そして編曲に高田弘という、当時の日本の音楽界を代表する錚々たる顔ぶれが集結しました。この強力な制作チームが生み出したメロディーと歌詞は、多くの人々の共感を呼び、楽曲の成功の大きな要因となりました。

商業的な成功と受賞歴

「酔いどれて」は、商業面でも圧倒的な成功を収めました。オリコン・シングルチャートにおいては、発売から長きにわたり売上を伸ばし続け、トップ100圏内に実に31週にわたってランクインするという、驚異的なロングヒットを記録しました。これは、楽曲が一過性の流行に留まらず、幅広い層のリスナーに深く長く支持されたことを示す明確な証拠です。

また、音楽業界における評価も非常に高く、数々の権威ある賞を受賞しました。中でも、日本の音楽賞の中でも最も栄誉あるものの一つとされる第31回日本レコード大賞において、見事「金賞」に輝いたことは特筆すべき功績です。この受賞は、「酔いどれて」が楽曲の質、そして当時の音楽界への貢献度の両面で高く評価された結果であり、桂銀淑の代表曲としての地位を確固たるものにしました。その他にも多くの音楽賞を受賞し、その年の音楽シーンにおける本楽曲の重要性が改めて示されました。

メディアでの影響と国民的な認知

「酔いどれて」のヒットと高い評価は、様々なメディアでの露出へと繋がりました。中でも、日本の年末の風物詩とも言える『NHK紅白歌合戦』への出場は、楽曲の国民的な認知度を一気に高める契機となりました。桂銀淑は、ヒット曲「酔いどれて」を携え、第40回NHK紅白歌合戦に記念すべき初出場を果たしました。生放送の全国ネットで披露された彼女の圧巻のパフォーマンスは、多くの視聴者に感動を与え、「酔いどれて」はさらに広く日本中に知れ渡る楽曲となりました。

シングル盤の収録内容

「酔いどれて」のシングル盤には、表題曲に加えてカップリング曲が収録されています。

• - 酔いどれて

- 作詞：吉岡治
- 作曲：浜圭介
- 編曲：高田弘
表題曲は、吉岡治による情景豊かで叙情的な歌詞、浜圭介による哀愁を帯びた美しいメロディー、そして高田弘によるドラマティックな編曲が一体となり、桂銀淑の表現力が最大限に引き出された楽曲です。

• - どうする貴方

- 作詞：やしろよう
- 作曲：浜圭介
- 編曲：高田弘
カップリングに収められた「どうする貴方」は、作詞をやしろようが手掛け、作曲・編曲は表題曲と同じく浜圭介と高田弘が担当しています。表題曲とは異なる雰囲気を持っていますが、シングル盤として統一感のあるサウンドを提供しています。

結論

1989年に発表された桂銀淑のシングル「酔いどれて」は、その優れた楽曲性と桂銀淑の表現力によって、商業的な成功と音楽賞での高い評価を同時に獲得しました。オリコンチャートでのロングヒット、日本レコード大賞金賞受賞、そしてNHK紅白歌合戦への出場といった輝かしい実績は、この楽曲が単なるヒット曲に留まらず、桂銀淑のキャリアを代表する一曲として、また1989年の日本の歌謡史に深く刻まれた名曲であることを証明しています。現在も多くの音楽ファンに愛され続ける「酔いどれて」は、桂銀淑という歌手の魅力を語る上で決して欠かすことのできない作品と言えるでしょう。

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