酪農学園大学短期大学部

酪農学園大学短期大学部：日本の酪農教育を支えた唯一の短期大学

酪農学園大学短期大学部は、北海道江別市に本部を置く私立短期大学でした。1950年の開学以来、2012年の廃止まで、日本の酪農教育において重要な役割を果たしました。全国でも類を見ない酪農学科を擁し、多くの卒業生を社会に送り出しました。本稿では、その歴史、教育・研究内容、特色、そして閉校に至るまでの経緯を詳しく解説します。

建学の精神と教育理念

酪農学園大学短期大学部の建学の精神は、「神を愛し、人を愛し、土を愛する」でした。この精神に基づき、実践的な酪農技術の習得と、豊かな人間性を育む教育を目指していました。

教育・研究

酪農学園大学短期大学部の最大の特徴は、全国の短期大学で唯一の酪農学科を有していた点です。この学科では、「家畜管理学」「酪農実習」「作物栽培学」といった専門科目のほか、「卒業論文」も必修として、実践的な能力と研究能力の育成に力を入れていました。

また、製造科、教養科、経営情報学科といった、酪農分野以外の学科も設置していました。製造科では食品や畜産に関する科目を、教養科では秘書、教養、生活文化に関する科目を、経営情報学科では経済学や経営学に関する科目をそれぞれ履修できました。各学科には専門分野を研究する研究室も設置されていました。

学風と特色

酪農学園大学短期大学部は、日本唯一の酪農短期大学として、独特の学風を形成していました。大学と同等の学科が設置されていたため、卒業後に酪農学園大学へ編入学する学生も多くいました。北海道だけでなく、全国各地からの学生が集まり、多様な学生文化が育まれていました。

沿革

酪農学園大学短期大学部の歴史は、1933年に設立された北海道酪農義塾にまで遡ります。その後、野幌高等機農学校（1942年）、酪農学園大学部（各種学校、1949年）を経て、1950年3月14日、文部省より短期大学の設置認可を受け、酪農学園短期大学として開学しました。

開学当初は酪農学科のみでしたが、その後、製造科（1962年）、教養学科（1985年）、経営情報学科（1990年）が設置され、学科数が増減を繰り返しました。1997年には教養学科と経営情報学科の学生募集を停止、1998年には校名を酪農学園大学短期大学部に改称し、酪農科を酪農学科に改称しました。2010年度入学生を最後に学生募集を停止し、2012年10月12日に正式に廃止されました。

学生生活

大学と合同で体育系・文化系のクラブ活動や、6月に行われる「白樺祭」と呼ばれる学園祭が盛んに行われていました。また、ソフトボール大会やバレーボール大会といったスポーツイベントも開催されていました。

施設

キャンパスは北海道江別市に位置し、JR北海道バスや夕鉄バスでアクセスできました。男子寮（創世寮、北光寮）、女子寮（カナン寮）も設置されていました。

卒業後の進路

卒業生は、酪農学園大学をはじめ、帯広畜産大学、島根大学、東京農業大学、麻布大学、近畿大学、九州東海大学などへの編入学や進学実績がありました。

まとめ

酪農学園大学短期大学部は、日本で唯一の酪農短期大学として、長年にわたって日本の酪農教育に貢献しました。その歴史と教育内容は、日本の高等教育史において重要な一頁を刻んでいます。閉校は残念ですが、その精神と伝統は、酪農学園大学をはじめとする関連機関に引き継がれていると言えるでしょう。

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