酸化レニウム(VI)

酸化[レニウム]：金属並みの電気伝導性を示す酸化物

酸化[レニウム] (ReO3) は、レニウムと酸素からなる化合物で、金属のような光沢を持つ赤い固体です。マンガン、テクネチウム、レニウムの三酸化物の中で、唯一安定して存在できる点が注目に値します。

結晶構造

酸化[レニウム]は、単純立方格子構造という規則正しい構造をとっています。その[格子定数]]は3.742 Å (374.2 pm) と測定されています。興味深いことに、この構造は[[ペロブスカイト構造]から中心のカチオンAを除いた構造とよく似ています。

各レニウム原子(Re)は、6個の酸素原子(O)に囲まれ、八面体構造を形成しています。この八面体は頂点を共有することで、三次元的なネットワークを構築しています。単位格子中には、レニウム原子が1個、酸素原子が3個含まれており、化学式ReO3が示す組成比と一致しています。レニウム原子の配位数は6です。

電気的性質：金属並みの高い伝導性

酸化[レニウム]の最も特筆すべき性質は、その高い電気伝導性です。一般的な金属酸化物とは異なり、非常に低い電気抵抗を示します。しかも、温度が低下すると抵抗値も低下する金属的なふるまいを示します。

具体的には、300 K（摂氏27度）での電気抵抗率は1.0 × 10⁻⁷ Ωm (1.0 × 10⁵ S/cm)、100 K（摂氏-173度）では6.0 × 10⁻⁹ Ωm (1.7 × 10⁶ S/cm) と、極めて低い値を示します。特に78 K (摂氏-195度)付近では、銀と同程度の高い電気伝導度を示すことが確認されています。驚くべきことに、295 Kでのレニウム金属自身の電気伝導度(0.54 × 10⁵ S/cm)よりも高い値を示し、酸化物でありながら金属よりも優れた伝導体であることがわかります。

合成法

酸化[レニウム]は、酸化[レニウム] (Re₂O₇) を[一酸化炭素]で[還元]]することで合成されます。この反応では、一酸化炭素がレニウムの酸化状態を下げ、酸化[[レニウム]と二酸化炭素(CO₂)を生成します。


Re₂O₇ + CO → 2ReO₃ + CO₂

まとめ

酸化[レニウム]は、その特異な結晶構造と金属並みの高い電気伝導率を示す珍しい酸化物です。その性質は、金属や半導体の基礎研究、更には新たな電子材料開発において重要な知見を与えてくれます。今後の研究によって、新たな機能性材料としての可能性がさらに広がるものと期待されます。

もう一度検索