采女

采女（うねめ）について

概要

采女とは、古代日本において天皇や皇后に仕える女官の職名であり、主に食事や日常の雑務を担当していました。この職務は日本の平安時代初頭まで続きました。中国では「采女」と呼ばれる後宮の女性たちが存在していましたが、日本における采女は独自の役割や地位を持っていました。

中国における采女の歴史

中国の采女制度は、前漢の時代から存在し、後漢の時期に多くの記録が残されています。『後漢書』には後宮に数千人を超える采女が存在したとの記載があります。これらの女性は、綵女とも呼ばれ、王朝に仕えましたが、唐朝以降はその制度が廃れたといいます。このことから、采女の制度は継承されずに失われてしまったことがわかります。

南北朝時代や隋の時代においても采女の記録は残っており、采女の役割は重要視されていたようです。特に隋の時代には、数百から数千の采女が後宮に仕えていたことが明言されています。

日本における采女の歴史

日本における采女の起源は、古事記や日本書紀に記述が見られ、飛鳥時代には地方豪族の娘たちが天皇家に献上される習慣があったことが示されています。特に、采女は天皇の食事を担当することが多く、容姿や教養の高さが求められました。大宝律令の後宮職務令により、采女は正式な職業として認められ、多くの地方豪族の女性たちが選ばれました。

また、平安時代までは採女の下級職員としての役割が強く、彼女たちは天皇の側に仕えることが求められました。采女の長官は「采女正」（ウネメノカミ）と称され、役職が制定されていました。

采女の役割と地位

采女は基本的には食事を準備することが主な業務とされていましたが、他にも天皇の側に付き添う役割を担うことが多かったため、彼女たちの地位は神聖視されていました。そのため、容姿端麗な采女が選ばれ、地方からも美しさや教養を基準にした審査が行われていました。歴史的には、天皇の妻としての役割を持ち、その子供が天皇家において認められることもありました。

大宝律令により、采女の募集は公式に規制されるようになりました。募集条件には、13歳以上30歳以下であること、身元が郡少領の姉妹または娘で、容姿が厳選されるというような項目がありました。のちに、采女の役職も形骸化し、平安時代やその以降の時代にその役割は変化していきました。

采女としての憧れ

采女は地方豪族の娘たちであるため、教養や美貌が重視されていました。そのことから、多くの男性の憧れの的となり、さまざまな文学作品にも彼女たちの美しさが記されているのです。『日本書紀』『万葉集』などに彼女たちに対する詩や描写が残されています。

有名な采女

歴史上の有名な采女には伊賀宅子娘や因幡八上采女、神野采女正などが存在します。さらに、伝説として知られる采女も多く、猿沢の池や山の井伝説など、彼女たちの物語は日本の文化に色濃く残っています。

そのため、采女は古代日本において重要な役割を果たした女性たちであり、彼女たちの存在は当時の朝廷における社会構造や文化に大きな影響を与えました。

もう一度検索