釈迦堂遺跡群

釈迦堂遺跡群：縄文の息吹を感じる複合遺跡

釈迦堂遺跡群は、山梨県笛吹市と甲州市にまたがる広大な複合遺跡です。甲府盆地の東部、京戸川扇状地に位置し、南北450メートルに及ぶ範囲に、縄文時代早期から平安時代にかけての様々な時代の遺構が確認されています。

発掘調査と遺跡の概要

1980年から翌年にかけて、中央自動車道の建設に伴い、山梨県教育委員会によって発掘調査が実施されました。この調査によって、数多くの縄文時代の竪穴建物跡や、1,000点を超える土偶など、貴重な遺物が出土しました。

遺跡は、谷や尾根によって以下の5つの地区に分けられています。

塚越北A地区: 主に縄文後期の遺構・遺物が出土。
塚越北B地区: 縄文前期から後期にかけての遺構・遺物が出土。
釈迦堂地区: 奈良時代の遺構・遺物が出土。
三口神平地区: 縄文前期から中期の遺構・遺物が出土。
* 野呂原地区: 縄文中期の遺構・遺物が出土。

これらの地区ごとの状況を比較することで、縄文時代の集落の変遷や、人々の生活様式の変化を垣間見ることができます。

釈迦堂遺跡群の特筆すべき出土遺物

釈迦堂遺跡群から出土した遺物の中でも、特に注目されるのは土偶です。その数は1,116個体に及び、一つの遺跡群からの出土数としては、青森県の三内丸山遺跡に次ぐ多さです。

これらの土偶は、大半が縄文時代中期のものであり、その数量の多さに加えて、意図的な破壊が認められる点が特徴です。このような出土状況が明確であることは、学術的にも非常に貴重な情報を提供してくれます。

また、塚越北A地区の縄文早期の層からは、ハマグリの破片が出土しています。これは、2008年時点で山梨県内における最古の海産物資料とされています。ただし、食用の生貝として持ち込まれたのか、装飾品などの貝製品として持ち込まれたのかについては、現在も議論が続いています。

文化財としての価値

1,116個の土偶は、1988年に一括して国の重要文化財に指定されました。さらに、その他の出土品である縄文時代の土器・土製品（3,410点）、石器・石製品（915点）なども、2005年に重要文化財に追加指定されています。

これらの貴重な出土品は、釈迦堂遺跡博物館に保存・展示されており、一般の人々も見学することができます。

釈迦堂遺跡博物館

釈迦堂遺跡博物館は、釈迦堂遺跡群から出土した遺物を中心に展示する博物館です。土偶をはじめとする貴重な文化財を通して、縄文時代の生活や文化に触れることができます。遺跡に関する学習や研究の拠点としても重要な役割を果たしています。

まとめ

釈迦堂遺跡群は、縄文時代から平安時代にかけての複合遺跡であり、特に大量の土偶の出土によって知られています。これらの土偶やその他の遺物は、当時の人々の精神性や生活様式を理解するための貴重な手がかりとなります。釈迦堂遺跡博物館を訪れ、悠久の時を超えて、縄文時代の人々の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

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