重機甲兵ゼノン

重機甲兵ゼノン

『重機甲兵ゼノン』は、神崎将臣が創作したSF・軍事アクション漫画で、1986年から1987年にかけて小学館の『少年ビッグコミック』で連載されていました。物語は、墜落した旅客機234便に乗っていた叶飛鳥が全ての記憶を失い、東京の街を彷徨うところから始まります。彼の周辺で起こる不可解な出来事と彼自身の過去の真実が次第に浮かび上がります。

ストーリーの概要

物語の中心となるのは叶飛鳥で、彼は軍事秘密組織「赤い海」に拉致され、サイボーグ「X-777（エックス-スリーセブン） 重機甲兵（バイオダイバー）ゼノン」に改造されてしまいます。飛鳥は脱走者として「赤い海」に追われる身となり、3ヶ月後に記憶を失った状態で東京に戻ります。彼を再会するのは新田薗子と郷田竜二ですが、彼らは飛鳥の身体に異変が起きていることに気付きます。

飛鳥は自身がサイボーグであることを理解し、次第に記憶を取り戻します。彼は家族を守るために「赤い海」に立ち向かう決意を固め、最愛の母を殺した敵への復讐を誓います。物語は、彼が強大な敵「赤い海」との壮絶な戦いを繰り広げる中で、彼自身の人間性や尊厳と向き合いながら進展していきます。

主要キャラクター

叶飛鳥（かのう あすか）

飛鳥は元々都立須賀山高校の高校生でしたが、「赤い海」に拉致された後、サイボーグとして改造されます。記憶喪失となり苦難に直面する中で、彼は自らの戦士としての役割を見いだし、成長していきます。彼の復讐心と人間らしさが物語の核を成しています。

郷田竜二（ごうだ りゅうじ）

龍二は飛鳥の高校の応援団団長で、飛鳥の脱走と改造に伴い、彼の仲間となります。自らも戦う意志を持ち、飛鳥と共に彼らの敵と戦うことになります。

冴野陽子（さえの ようこ）

陽子はフリーのカメラマンでありながら、実は「赤い海」に拉致されサイボーグに改造されています。彼女は自身から未来を奪った「赤い海」に強い憎しみを抱き、飛鳥たちと共に戦う仲間となります。

組織「赤い海」

「赤い海」は非常に巧妙で恐ろしい軍事組織で、サイボーグを生み出すための非合法な実験を行っています。物語の中で、飛鳥や彼の仲間たちはこの組織との戦いを強いられます。「赤い海」の幹部トウノはサイボーグたちを操り、飛鳥を試すような行動を取り、物語に大きな影響を与えます。

物語のテーマ

本作は、悪の組織に肉体を改造された主人公が復讐のために戦うというテーマを持ち、「仮面ライダー」などの特撮ヒーローものへのオマージュが感じられます。また、1980年代のアニメ・漫画のリアル路線に位置づけされ、シリアスなストーリーとユーモラスな日常シーンが交錯する中で、緻密な作画が魅力とされています。

ゼノンの強大な能力や、彼の人間性との葛藤が物語を深くしており、読者に強いメッセージを伝えています。

結論

『重機甲兵ゼノン』はSFアクションに単なる復讐劇を超えた深いテーマを持つ作品です。主人公が自分自身のアイデンティティと向き合い、成長していく様子は、多くの読者に感情移入をもたらします。この作品は、単なるエンターテインメントを超えて、戦争や人間の尊厳について考えさせられる要素を盛り込んでいます。

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