野々村一雄

野々村 一雄 - 日本の経済学者

基本情報

野々村 一雄（ののむら かずお）は、1913年3月10日に愛知県で生まれ、1998年1月12日に亡くなった日本の経済学者です。特にソヴィエト経済に関する研究で知られており、一橋大学の名誉教授として多くの後進を育成しました。また、1952年から1989年にかけては、経済理論学会の代表幹事を務めました。

経歴

大阪商科大学（現在の大阪市立大学）を卒業後、満鉄調査部に入社。研究や調査の内容が軍部に対して批判的であったため、「満鉄調査部事件」に巻き込まれ、1945年には懲役2年執行猶予3年の判決を受けました。この事件は、経調派の調査姿勢が問題視された結果、彼を含む多くの研究者に影響を及ぼしました。

敗戦後、満鉄の後身である中長鉄路調査局で上級調査員として働きましたが、その後1947年に帰国し、大阪市立大学経済研究所を経て、1949年には一橋大学経済研究所にて教職に就きます。ここで彼はソ連経済研究部門を設置し、同大学におけるソ連経済の研究基盤を築きました。1977年に定年退官し、その後名誉教授の資格を得ながら千葉商科大学で教鞭を執りました。

1986年には勲三等旭日中綬章を受章、また1998年には正四位に叙されました。彼の研究業績として、1962年に「ソヴェート計画経済の方法」で一橋大学から経済学博士の学位を取得したことが特筆されます。

研究と著作

野々村は、ソ連経済に関する多くの書籍や論文を執筆し、特に『ソ連邦の経済』や『ソヴェート経済論』などが広く知られています。彼の著作には、日本戦後経済の状況を分析したものや、ソ連経済の構造についての研究などが含まれ、多くの後進の研究者に影響を与えました。

また、彼は自己の体験をもとに『回想 満鉄調査部』を著し、当時の活動や自身の研究姿勢を詳細に記録しています。この著作は、満鉄調査部の実態を伝える貴重な資料とされ、同部を伝説化するような表現に対して批判的な立場を取っています。

教え子と影響

彼の指導を受けた学生には、大阪市立大学名誉教授の藤田整などがいて、彼らもまた野々村の影響を受けた研究者として知られています。彼の教えは、次世代の経済学者たちに受け継がれ、ソ連経済や社会主義経済についての研究が一層深まっています。

総括

野々村一雄は、ソ連経済の専門家として、日本の経済学において重要な地位を占める存在でした。彼の研究や著作は、当時の経済情勢を理解する上で欠かせない資料となり、彼の功績は今なお評価されています。

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