野口廃寺

野口廃寺の歴史と遺跡

岐阜県各務原市に位置する野口廃寺は、飛鳥時代から奈良時代にかけて存在した寺院の遺跡です。この寺院の具体的な名称や本尊、宗派などは明らかになっていませんが、出土品からその存在が確認されています。

発見の経緯

野口廃寺の遺跡は、平成3年（1991年）にマンション建設中に発見され、その後の調査でその重要性が認識されました。毎都市史学研究を行う各務原市により、平成7年（1995年）と平成8年（1996年）に発掘調査が実施され、重要な遺構が発見されました。この寺院の名称は、かつての村名に由来しています。

遺構と出土品

発掘された遺構は、掘立柱建物の跡や周囲に見られる溝の跡、さらには鋳造施設の跡など、6つの建物の痕跡が確認されています。主な出土品には須恵器や、さまざまな瓦の破片が含まれています。これらの遺物は、寺院が7世紀末から8世紀半ばに存在していたことを示唆しています。特に、須恵器は当時の僧侶や信者の日常生活を反映する重要な資料となっています。

しかし、発掘調査は寺院全体には及んでおらず、伽藍の配置や規模については不明な点が多いのが現状です。いくつかの研究者は、廃寺に至る理由として、近隣の寺院と統合された可能性を指摘しています。特に、火災の痕跡が発見されていないため、この説に信憑性が存在します。

現在の状況

2021年時点では、野口廃寺の遺跡は住宅地や商業地域として利用されていますが、遺跡が存在した場所にはいちょう通りに史跡を示す看板が設置されており、訪れる人々にこの地域の歴史を伝えています。この看板は、かつてこの場所に重要な宗教的建物が存在したことを示し、地域の文化遺産を意識するきっかけとなっています。

今後、より広範な発掘調査が行われることで、野口廃寺の全容が明らかにされ、そこに隠された歴史がさらにはっきりとした形で解明されることが期待されています。

参考文献

• - 各務原市埋蔵文化財調査センター　『野口廃寺』平成17年
• - 岐阜市歴史博物館　『壬申の乱』 p.27 令和3年

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