野口洋二

野口洋二（のぐち ようじ）は、1933年1月28日生まれの日本の歴史学者であり、早稲田大学の名誉教授です。彼の専門は西洋中世史であり、特に中世ヨーロッパの宗教政治史と文化史の研究に深く携わってきました。

野口氏は、1951年に東京都立大学附属高等学校を卒業後、1956年に早稲田大学第一文学部史学科を卒業しました。その後、1962年に同大学大学院文学研究科の博士課程を修了。1964年からは早稲田大学文学部の助手として教鞭を執り始めました。1966年から1968年にかけては、スイス政府の給費留学生としてジュネーヴ大学へ留学し、研究活動をさらに深めました。

帰国後、1969年に早稲田大学の講師、1972年に助教授、そして1977年には教授に昇任しました。同年には、早稲田大学から文学博士号を授与されています。1990年には早稲田大学図書館長に就任し、1991年には総合学術情報センターの開館式を執り行いました。また、早稲田大学の理事（文化事業担当）、総合研究機構長、會津八一記念博物館長など、大学運営における重要な役職も歴任しました。2003年に定年退職されるまで、長年にわたり早稲田大学の教育と研究に貢献しました。

野口教授の研究業績は多岐にわたります。著書としては、『グレゴリウス改革の研究』（1978年）、『中世ヨーロッパの教会と民衆の世界』（2009年）、『中世ヨーロッパの異教・迷信・魔術』（2016年）などがあります。これらの著作は、中世ヨーロッパの社会、宗教、文化に対する深い理解を提供しています。

また、編著としては、『西洋の歴史＜古代・中世編＞』（1988年）を手がけ、西洋史全体の流れを捉えるための基礎的な知識を提供しました。

翻訳書も多数手がけており、オーギュスタン・フリシュの『叙任権闘争』（1972年、2020年再版）、チャールズ・H・ハスキンズの『十二世紀ルネサンス』（1985年、電子書籍で再刊）、クリストファー・ドーソンの『中世ヨーロッパ文化史』（1993年、諏訪幸男氏との共訳）、ジャック・ヴェルジェの『入門 十二世紀ルネサンス』（2001年）、『ヨーロッパ中世末期の学識者』（2004年）などがあります。これらの翻訳を通じて、西洋中世史研究の重要な文献を日本の読者に紹介し、日本の西洋中世史研究の発展に大きく貢献しました。

さらに、監修としても、『総合新世界史図説』（1998年）、『明解新世界史地図』（2000年）、『大学受験のための世界史図説資料集』（2001年）などの歴史教材に携わり、歴史教育の現場にも貢献しています。

野口洋二教授は、西洋中世史の研究者として、その深い知識と幅広い視点から多くの学生や研究者に影響を与え続けています。彼の業績は、日本の西洋中世史研究において重要な基盤となっています。

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