野坂康久

野坂 康久の生涯と業績

野坂 康久（のざか やすひさ）は明治22年、つまり1889年の6月18日、鳥取県米子市で生まれました。彼は旧姓を稲田とし、日本の実業家及び政治家として名を馳せました。野坂は洋食レストラン「十字屋」の経営者であり、また米子市の市会議員として議長を務めました。彼の家系は政治や法律においても重要な役割を果たしており、外交官・米子市長だった祖父や、戦後米子市長を務めた親族も存在しました。

経歴

野坂康久は米子市の酒造業に従事する稲田家に生まれましたが、彼の養父は野坂吉五郎であり、米子中学校（現在の米子東高校）を卒業した後、大阪高等工業学校の醸造科に進みました。1912年に同校を卒業した彼は、最初の10年間は家業に従事しましたが、その後は海陸運送業や楽器販売、そして飲食業など多岐にわたって活動しました。

昭和8年（1933年）には米子商工会議所の議員に選出され、昭和10年（1935年）には米子市会議員に当選します。戦後の昭和26年（1951年）、彼は長年続けてきた楽器販売と飲食業を有限会社「十字屋」に改組し、その取締役社長に就任しました。

十字屋レストランと影響

十字屋は、昭和50年代まで本通り商店街で唯一の上品なレストランとして、多くの人に愛されてきました。『勝田ヶ丘の人物誌』によると、当店には多くの品々が用意されており、野坂康久の姿を見た人々には印象的なダンディさが記憶されています。このレストランの閉店は商店街全体にとって大きな悲しみとなりました。

さらに、山陰放送（ラジオ山陰）や米子高島屋の設立においても、野坂の発想が大きく寄与しています。彼の孫、野坂康夫の証言によれば、ラジオ山陰は当地のパチンコ店の二階に設立され、祖父および父がこの開局に関与しており、さまざまな人々の協力を得て創立を実現したと言います。また、米子にて百貨店を誘致する構想も持っていた祖父の意向を受けて、1959年には米子高島屋が設立されました。

性格と人柄

野坂の性格について、孫の康夫は「宴席ではおもしろい面もあったが、家族に対しては厳格で、まるで絶対君主のような存在だった」と振り返ります。彼は特に家族の中で権威を持つ人物でありながら、祭りごとではこづかいをもらう楽しみも与えてくれたようです。趣味は歌舞伎や観劇で、宗教的には禅宗・曹洞宗に帰依していました。

野坂家の背景

野坂康久の家庭は、父母や多くの兄弟姉妹によって構成されていました。妻は養父の長女である幹代で、彼の兄弟たちの中には無線技師の一郎や二男の佑二、三男の陞三、四男の奬がいます。彼の家系は地元において重要な足跡を残してきました。彼の家族やその背景についても、地域社会への影響は計り知れないものがあります。

参考出典

彼の業績については、『新日本人物大観』や『勝田ヶ丘の人物誌』に取り上げられており、これら文献は彼の人生や影響力の分析に役立つ情報源となっています。野坂康久は、政治家、実業家、地域社会の発展に寄与した市民として、重要な位置を占めています。

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