野外通信システム

野外通信システム（Field Communication System）

概要

野外通信システムは、陸上自衛隊のために開発された通信インフラであり、略称は「野通」として知られています。本システムは、様々な通信手段を一元化し、迅速かつ効率的に情報を伝達することを目指しています。これにより、戦闘や作戦の即応性を高めることが可能となります。

このシステムは、従来の方面隊電子交換システム（AESS）や師団通信システム（DICS）、さらには地上無線機を含む旧野外通信システムの後継として位置付けられています。開発は、技術研究本部（現・防衛装備庁）によって行われ、NECが製作を担当しました。試作は平成19年度から開始され、何段階もの技術試験を経た後、平成24年度に正式な装備として導入されました。

特徴と機能

このシステムでは、HF、VHF、UHF周波数帯域を使用し、特にInternet Protocolを基にした通信プロトコルが採用されています。これにより、モバイルアドホックネットワークを構成し、広範囲にわたって、高速な通信が実現されています。特に初動においては、主要部隊間での通信を迅速に確保することができます。

さらに、広帯域多目的無線機（広多無）は、音声通信とデータ通信を同時に行う能力を有しており、3自衛隊や他機関との直接通信を可能にします。この技術の導入により、情報の流れが格段にスムーズになり、各部隊の連携が強化されました。

システムの運用と改修

野外通信システムの運用にあたっては、指揮統制システムがソフトウェアとして統合され、情報の共有が可能となっています。公式な経路を通じて、海自、空自、さらに米軍とも秘匿情報のやり取りができるように設計されています。自衛隊の指揮システムとの連携や、外部からのサポートも含めた運用が進められています。

また、システムの改修は継続的に行われており、さまざまな機能追加や性能向上がなされています。例えば、広帯域多目的無線機のプログラム改修や、指揮統制機能の統合が進められており、これにより各システム間の連携が強化されています。特に、音声通信とデータ通信の統合は、現代の複雑な戦闘環境において必須とされています。

調達と未来の展望

これまでの調達実績をみると、野外通信システムの導入が急激に増えた理由は、東日本大震災の際の教訓を反映した結果であり、情報通信の円滑化が急務であると認識されたことが挙げられます。今後も陸上自衛隊の通信能力は一層向上していくことが期待されており、特に他国との相互運用性向上が注目されています。

結論

陸上自衛隊の野外通信システムは、近代戦における通信の重要性を反映し、様々な技術を駆使して情報の迅速な共有と効率的な戦略実行を支援します。これにより、自衛隊はより効果的な対応を可能にし、国際的な安保環境の変化にも対応できる体制を整えているのです。

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