野本京子

野本 京子（のもと きょうこ）

野本京子は、1951年に生まれた日本の歴史学者です。専門は日本近現代農業史であり、この分野において長年にわたり精力的な研究活動を行ってきました。特に、近現代の日本の農業や農村社会の変遷、そしてそこに生きる人々の営みを歴史的な視点から深く掘り下げています。

学歴

野本氏は、1976年3月に日本女子大学文学部を卒業し、学問への道を本格的に歩み始めました。その後、さらなる研鑽を積むため、1978年3月にお茶の水女子大学大学院人文科学研究科の修士課程を修了しています。研究対象を深めるべく、東京大学大学院農学系研究科の博士課程に進学し、1982年6月には単位を取得して退学しました。長年の研究成果を結実させ、1999年3月には博士（農学）の学位を取得しています。

職歴

大学での教育・研究活動に入る前、野本氏は日本学術振興会の奨励研究員として研究に携わりました。また、教育現場での経験も積んでおり、青葉学園短期大学や日本女子大学で非常勤講師を務めた期間があります。1988年4月からは、東京外国語大学外国語学部に専任教員として着任し、講師となりました。以後、同大学で助教授、そして教授へと昇任し、多くの学生の指導にあたるとともに、自身の研究を進めました。

大学組織の改編に伴い、2009年4月からは同大学の総合国際学研究院（国際社会部門・地域研究系）の教授として、また2015年4月からは国際日本学研究院の教授として、引き続き教育・研究に貢献しました。2017年3月には東京外国語大学を定年退職し、その長年の功績が称えられ、同大学の名誉教授の称号を授与されました。

専門分野と研究内容

野本氏の主な専門は、日本近現代農業史です。その研究は多岐にわたりますが、特に注目されるのは、戦前期における農本主義（ペザンティズム）の思想とその歴史的な系譜に関する分析です。また、近代以降の市場経済の発展が日本の農民の「生活」「経営」「地域」にどのような影響を与え、それに対して農民がどのように対応し、自らの主体性を形成してきたのか、というテーマも深く探求しています。これらの研究は、日本の農業および農村がたどってきた道のりを理解する上で貴重な洞察を提供しています。

主な著作

これまでの研究成果は、いくつかの重要な著作として結実しています。主な単著には以下のものがあります。

『戦前期ペザンティズムの系譜 農本主義の再検討』
（日本経済評論社、1999年）
この著作では、戦前の日本における農本主義という思想がどのように生まれ、展開し、日本の社会や農業にどのような影響を与えたのかを歴史的に深く掘り下げています。

『市場と農民「生活」「経営」「地域」の主体形成』
（農山漁村文化協会、2011年）
本著では、近代的な市場経済が農村に浸透する中で、農民たちがその生活や経営、そして所属する地域社会をどのように維持・変容させ、自らのあり方を模索してきた過程を丹念に追っています。

これらの著作を通じて、野本京子は日本の近現代農業史研究に重要な貢献を果たしています。名誉教授として、今後の研究活動や社会への影響も期待されています。

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