野村政明

野村政明は、1854年（嘉永7年）に薩摩藩士の子として鹿児島に生まれました。幼名は市来七之助といい、後に市来政明と名乗ります。彼は、幼少期から学問に励み、開成所では英書を、藩儒者からは漢籍を学びました。

1875年、野村は上京し、芝の近藤塾（攻玉塾）で学び、さらに1878年（明治11年）には慶應義塾に入学しました。慶應義塾では、藤田茂吉らと共に英学などを学びました。この時期に西郷隆盛の私学校に入門し、西南戦争に従軍しましたが、生還を果たしました。その後、野村忍助と共に再び慶應義塾に入り、福澤諭吉の推薦で元吉秀三郎を紹介され、新聞事業に携わることになります。

1882年、野村は鹿児島新聞社の社長に就任し、ジャーナリズムの世界で活躍しました。その後、鹿児島県会議員や鹿児島県地方衛生委員などを歴任し、地方政治にも関与しました。1887年（明治20年）には愛媛県書記官に任官し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。その後、内務省参事官、宮城県書記官、鹿児島県書記官などを歴任し、中央政府と地方行政の両面で経験を積みました。

1894年（明治27年）9月、野村は鳥取県知事に就任しました。鳥取県知事時代には、前年の水害からの復旧事業や伝染病の救護事業を推進し、県民の生活再建に尽力しました。1896年（明治29年）4月には、拓殖務省南部局長に転じ、台湾事務局長も務めました。1898年（明治31年）10月には、和歌山県知事に就任し、その後も岐阜県知事、宮城県知事、石川県知事を歴任しました。各地で地方行政に携わり、その手腕を発揮しました。

1902年（明治35年）5月、野村は愛知県知事に就任しましたが、持病が悪化し、同年9月に石川県粟津温泉で療養生活を送ることになりました。しかし、病状は好転せず、同年10月に赤痢のため金沢病院で死去しました。享年49歳でした。

野村政明は、その生涯を通じて、地方行政の発展に大きく貢献しました。県知事として、水害からの復旧、伝染病対策など、県民の生活を守るために尽力しました。また、ジャーナリズムの世界にも足跡を残し、新聞経営にも関わりました。彼の功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

【栄典】

1899年（明治32年）12月20日 - 従四位
1900年（明治33年）6月30日 - 勲三等瑞宝章

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