野火明

野火 明

日本の映像作家であり、写真家としても知られる野火 明（のび あきら）は、1960年9月13日に広島県に生まれました。現在は東京都中野区を拠点に活動しています。

経歴

高校を卒業後、野火氏は写真の世界に足を踏み入れ、カメラマンアシスタントとしてキャリアをスタートさせました。その後、雑誌フォトグラファーとして独立し、多岐にわたる分野でその腕を磨きます。特に1985年頃からは、人気雑誌である『週刊プレイボーイ』（集英社刊）のスタッフカメラマンとして活躍し、写真家としての確固たる地位を築きました。

写真家として活動する傍ら、野火氏は新たな表現媒体として映画制作に興味を持ち始めます。1991年には、当時放送されていたTBSのユニークなテレビ番組『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』への出品を目指し、自主的に短編映画の制作を開始しました。この挑戦が、彼のその後のキャリアを大きく方向づけることになります。

初期に制作された短編映画は、早くも国内外で高い評価を得ます。1991年の『メタルブルー』はBJシネマ大好き映像大賞で準グランプリを獲得しました。続く1992年に発表した短編作品『ダイヤモンドの月』は、特に注目を集めます。この作品は、ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭の自主映画部門でグランプリを受賞したほか、BJシネマ大好き映像大賞でもグランプリに輝き、さらに1995年のひろしま映像展でもグランプリを獲得するなど、数々の栄誉に輝きました。国際的にも評価され、香港映画界の巨匠ツイ・ハーク監督から絶賛されたことは特筆されます。同年制作の『小鳥たちのいない花園』も、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター部門に正式出品されるなど、短編映画作家としての実力を示しました。

これらの短編での成功を経て、野火氏は商業映画への道を拓きます。1996年には、長編映画『シークレットワルツ』で商業デビューを果たしました。この作品は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭1996のヤング・ファンタスティック・グランプリ部門で南俊子賞を受賞し、シドニー国際映画祭にも正式出品されるなど評価されました。しかし、商業配給された長編映画は、この『シークレットワルツ』以降しばらく途絶えることとなります。

それでも映画制作への情熱を失うことなく、野火氏は独自のペースで作品を発表し続けます。2010年には長編映画『蟻が空を飛ぶ日』を監督。この作品は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011への正式参加、ひろしま映像展2011でのグランプリ受賞、そしてヒューストン国際映画祭2011での金賞受賞と、再び国内外の映画祭で高い評価を得ました。2013年には劇場公開も実現し、2015年には『TOKYO KILLERS ～蟻が空を飛ぶ日～』としてDVDも発売されました。

その後も、アクション女優・亜紗美の引退記念作として話題となった『ツングースカ・バタフライ -サキとマリの物語-』（2019年劇場公開）、そして『女の仕事』（2022年製作、2023年劇場公開）など、精力的に長編作品を監督しています。また、2014年にはオムニバス映画『フールジャパン ABC・オブ・鉄ドン』の一編として短編『VIOLENCE』を発表するなど、短編映画の制作も継続しています。

監督業以外にも、2018年の映画『クライング フリー セックス』では撮影監督を務めるなど、様々な形で映画製作に携わっています。

現在は、自身の創作活動に加え、インディーズ映画を盛り上げるための活動にも尽力しています。2013年7月からは、「TOKYO月イチ映画祭」の主宰を務め、定期的な上映機会を提供することで、多くの自主映画作家や映画ファンを繋ぐ場を創出しています。写真家から映画監督へとその表現の幅を広げ、自主映画界から商業映画まで多岐にわたる活動を展開する野火 明氏は、日本のインディーズ映画シーンにおいて重要な存在であり続けています。

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