野田壽雄

野田壽雄は、日本の近世文学研究において重要な役割を果たした国文学者です。1913年2月23日大阪府に生まれ、1935年3月には東京帝国大学文学部国文学科を卒業しました。卒業後は関東学院中学部で教鞭を執り、1949年6月には北海道大学法文学部助教授に就任。その後、1959年4月に北海道大学文学部教授に昇進しました。

北海道大学での活動は多岐に渡りました。1961年6月からは1963年5月まで北海道大学評議員を務め、大学運営にも関与しました。1967年12月には北海道大学文学部長・大学院文学研究科長に就任し、1969年12月までその職に就きました。さらに、1970年1月までは文学部附属北方文化研究施設長事務取扱も兼務していました。これらの要職を通して、大学の発展に大きく貢献しました。

1976年4月、北海道大学を停年退官。長年にわたる貢献が認められ、北海道大学名誉教授の称号を授与されました。その後も研究活動を続け、1981年3月まで青山学院大学教授として教鞭を執り続けました。

野田壽雄の研究対象は主に近世小説であり、その業績は高く評価されています。特に仮名草子や井原西鶴に関する研究は、近世小説研究の分野において、画期的な貢献をしました。彼の著作は、多くの研究者や学生に影響を与え、近世小説研究の深化に大きく寄与しました。主な著作には、『仮名草子集』（朝日新聞社）、『西鶴』、近世小説史論考（塙書房刊）、『近世初期小説論』（笠間書院刊）、『日本近世小説史 仮名草子篇』、『日本近世小説史 井原西鶴篇』、『日本近世小説史 談義本篇』、『日本近世小説史 浮世草子篇（上）』などがあります。これらの著作は、現在でも近世小説研究において重要な参考文献として活用され続けています。

野田壽雄の研究は、単なる文献の解説にとどまらず、近世小説が成立した社会背景や、作品が持つ思想や芸術性を深く考察したものでした。緻密な考証に基づいた分析と、明快な文章は、多くの読者に高く評価されています。その業績は、日本の近世小説研究に大きな足跡を残し、後世の研究者たちに多大な影響を与え続けるでしょう。2004年4月8日、永眠しました。

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