金子美登

金子美登（かねこ よしのり）氏は、1948年3月30日に生まれ、2022年9月24日に逝去した日本の有機農業家です。埼玉県比企郡小川町で300年続く農家の長男として生まれ、霧里農場の代表を務めました。また、特定非営利活動法人全国有機農業推進協議会の理事長や小川町議会議員も歴任し、日本の有機農業の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと有機農業への転換

高校卒業後、実家の農業を継いだ金子氏は、1968年に農林水産省農業者大学校に入学しました。そこで一楽照雄氏から指導を受け、有機農業の道へと進みます。1971年の卒業以来、一貫して農薬や化学肥料に頼らない有機農業を実践しました。

1975年には、消費者との提携を会費制で開始し、その後「お札制」に変更するなど、消費者との信頼関係を築きながら有機農業を拡大しました。1982年には有機農業の種苗交換会を始め、消費者との連携をさらに深めました。金子氏の熱心な取り組みは、地域全体の農家を有機農業へと転換させる原動力となり、この成功事例は「小川町モデル」として広く知られるようになりました。

地域への貢献と数々の受賞

金子氏は、1999年から2019年まで小川町議会議員を5期務め、地域社会の発展にも貢献しました。2015年には、有機農業の先駆者としての功績が認められ、黄綬褒章を受章しました。さらに、環境問題にも積極的に関わり、2016年には環境省のプロジェクトアンバサダーに任命されました。2017年には毎日地球未来賞のクボタ賞、2021年にはワンワールドアワード生涯功労賞を受賞するなど、その功績は国内外で高く評価されました。

人物像と活動

金子氏は、「有機農業は自然が100年で1センチ作る腐葉土を、人間の力で10年に早めてやる仕事」という言葉をモットーに、自然と調和した農業を追求しました。また、小川町でのゴルフ場開発反対運動など、環境問題にも積極的に取り組みました。作家の有吉佐和子氏とも親交があり、環境への意識の高さを共有していました。

霧里農場では、奇数月に公開見学会を開催し、有機農業への理解を深める活動を行っていました。また、「無農薬で米作りから酒造りを楽しむ会」を毎年主催するなど、農業の楽しさを伝えることにも尽力しました。

著書とメディア出演

金子氏は、その豊富な知識と経験を活かし、数多くの著書を出版しました。主な著書には、『未来を見つめる農場』、『いのちを守る農場から』、『絵とき 金子さんちの有機家庭菜園』などがあります。これらの著書は、有機農業に関心を持つ人々にとって、貴重な情報源となっています。

また、テレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」や「クローズアップ現代」など、様々なメディアにも出演し、有機農業の重要性を広く訴えました。

まとめ

金子美登氏は、日本の有機農業の発展に大きく貢献しただけでなく、環境問題にも積極的に取り組んだ人物でした。その功績は、多くの人々に影響を与え、持続可能な社会の実現に向けた希望を与え続けています。

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