金沢創

金沢 創

金沢 創（かなざわ そう）は、1966年に兵庫県で生まれた日本の心理学者です。現在は日本女子大学人間社会学部心理学科の教授として教鞭を執り、長年にわたり人間の心の探求に取り組んでいます。専門分野は心理学であり、その研究を通じて理学博士の学位を取得しています。

金沢氏の学問的な道のりは、灘高等学校を卒業後、1991年に京都大学文学部心理学科で始まりました。ここで心理学の基礎を深く学び、さらに研究を深めるため、京都大学大学院理学研究科の霊長類学専攻に進学しました。大学院では霊長類学の視点から生命や行動について研究を進め、1996年に博士課程の単位を取得して退学しています。心理学と霊長類学という異なる、しかし生命や心の理解において関連性の深い分野を学んだ経験は、その後の研究活動に多角的な視点をもたらしたと考えられます。

大学院での学びを終えた後、金沢氏は研究者としてのキャリアをスタートさせました。1999年には三菱化学生命科学研究所の社会生命科学研究室で特別研究員として活動しました。ここでは生命科学の最先端の研究環境の中で、社会や生命現象と心の関わりについて考察を深めたと推測されます。

その後、教育・研究の場を大学に移しました。2003年には淑徳大学社会学部心理学科の助教授に就任し、大学教員としての道を歩み始めました。学生への教育と自身の研究を両立させる日々を送る中で、2008年には日本女子大学人間社会学部心理学科に准教授として移籍しました。そして、2013年には同大学で教授へと昇任し、現在に至るまで、心理学の研究と後進の指導に尽力しています。

金沢氏の研究対象は、人間の心、特に他者の心をいかに理解するか、あるいは「妄想」といった認知のあり方など、現代社会における人間関係や精神活動の深層に迫るテーマが多いようです。霊長類学で培った比較動物学的な視点も、人間の心という複雑な対象を理解する上で生かされていると考えられます。

これまでの研究成果や考察は、複数の著作として発表されています。主な単著としては、2003年4月に角川書店から刊行された『他人の心を知るということ』（新書）と、2006年11月に光文社から刊行された『妄想力　ヒトの心とサルの心はどう違うのか』があります。『他人の心を知るということ』は、現代社会で不可欠な他者理解のメカニズムに焦点を当てた一冊であり、『妄想力』は、ヒトに特有ともいえる「妄想」のメカニズムを、霊長類の心の働きと比較しながら解き明かそうとする意欲的な作品です。これらの著書は、金沢氏が長年取り組んできたテーマ、すなわち人間の認知や社会性、そして他の動物との比較から見えてくる人間の心の独自性に対する深い洞察を示しています。

また、共著として2000年に角川文庫から出版された『「神」に迫るサイエンス－BRAIN VALLEY研究序説－』にも名を連ねています。この本は、作家の瀬名秀明氏をはじめとする著名な科学者や識者との共著であり、脳科学や生命科学、心理学といった多様な分野の知見が交錯する中で、「神」や意識といった根源的な問いにサイエンスの視点からアプローチを試みるものです。このような異分野の研究者との共同作業は、金沢氏の研究の幅広さや学際的な関心を示しています。

金沢創氏は、心理学者として、教育者として、そして著述家として、多角的な視点から人間の心の理解を深める活動を続けています。その研究成果は、現代社会における人間の行動や認知を理解する上で重要な示唆を与えています。個人の研究活動については、researchmapのマイポータルや、自らが運営する書評ブログからもその一端を知ることができます。

金沢氏の今後の研究や著作が、人間の心の謎の解明にどのような光を当てるのか、その活動に期待が寄せられています。

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