金沢治

金沢治（かなざわ おさめ）

金沢治は、明治32年（1899年）2月14日に徳島県美馬郡半田町（現つるぎ町）で生まれ、昭和56年（1981年）5月12日に生涯を閉じた、日本の歌人、郷土史家、そして方言研究家です。飯田義資、一宮松次と共に、徳島県郷土史研究の三大長老として、その名を刻んでいます。

生涯

金沢治は、徳島県美馬郡半田町で金沢与平の長男として生を受けました。徳島県師範学校本科第一部を卒業後、国学院大学高等師範部へ進学し、在学中は折口信夫に師事しました。大学卒業後は神奈川県立商工高等学校に勤務しましたが、後に帰郷し、徳島県立徳島中学校へ転任。その後は徳島県立美馬高等女学校の校長や私立香蘭高等学校での勤務を経て、徳島県の文化振興に貢献しました。

徳島県史編纂への貢献

昭和35年（1960年）には徳島県史編さん委員会が発足し、金沢治はその中心人物として活躍しました。徳島県資料調査員としても活動し、徳島県の歴史や文化に関する貴重な資料の収集、整理、研究に尽力しました。長年にわたる郷土史研究の功績が認められ、徳島県民賞や勲四等瑞宝章を受章しています。

方言研究

金沢治は、阿波方言の研究にも力を注ぎました。阿波言葉の辞典をはじめとする数々の著書を刊行し、阿波方言の保存と研究に大きく貢献しました。独自の方言研究は、言語学の分野においても高く評価されています。

人となり

金沢治は、郷土徳島への深い愛情と、学問に対する真摯な姿勢を持つ人物でした。その研究活動は、徳島県の文化遺産を後世に伝える上で、重要な役割を果たしました。

自死

昭和56年（1981年）5月11日、金沢治は散歩に出かけたまま帰宅せず、翌日、徳島市内の寺で遺書を残して自決しているのが発見されました。遺書には「これ以上老醜をさらしたくない」という旨が記されていたとされています。

主要な著書

阿波の鬼事遊び十二種
阿波美馬郡方言語彙
白庭
阿波に於けるアクセントの研究
阿波方言
柊のうた
阿波言葉の辞典
阿波言葉の語法
阿波民俗資料集
徳島県史史料
阿波民俗資料 年中行事
阿波郷土史伝
阿波の春秋
徳島
失われつつある阿波言葉
徳島県政外史

金沢治の業績は、徳島県の歴史、文化、言語の研究に多大な影響を与え、後世に語り継がれています。

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