金由起子

金 由起子（こん ゆきこ）氏は、1977年9月20日に北海道天塩町で生まれた、日本の元女子社会人野球選手であり、現在は指導者として活動しています。現役時代は右投げ右打ちの一塁手として活躍し、身長168cm、体重68kgでした。

幼少期から学生時代

野球への関心は、地元の天塩町立天塩小学校時代に芽生えました。小学校では野球チームでエースを務め、チームを地区大会決勝まで導く活躍を見せました。天塩町立天塩中学校に進学後も、軟式野球部でプレーを続けました。

北海道天塩高校へ進学すると、硬式野球部と女子バレーボール部を掛け持ちするという異色の経歴を歩みます。硬式野球部では公式戦に出場する機会には恵まれませんでしたが、女子硬式野球の北海道代表に選出されるなど、その才能は早くから注目されていました。一方、女子バレーボール部では地区大会準決勝までチームが勝ち進み、全国大会出場まであと一歩と迫るなど、高い運動能力を示しました。

社会人野球と日本代表での輝き

高校卒業後、金氏は女子野球の道を本格的に進みます。2001年からは女子軟式野球クラブチーム、札幌シェールズでプレー。そして2005年には、新設された女子社会人野球クラブチームの札幌ホーネッツに加入しました。ホーネッツでは選手としてチームの主軸を担う傍ら、監督も兼任するなど、指導者としての顔も持ち始めました。

金氏のキャリアにおいて特筆すべきは、女子硬式野球日本代表「マドンナジャパン」での活躍です。高校時代から代表に選出され、長年にわたりチームの4番打者として重責を担いました。IBAF（現WBSC）女子ワールドカップには、2002年の第1回大会から2016年の第7回大会まで、実に7大会連続で出場するという驚異的な記録を持っています。

代表チームは、金氏の貢献もあって国際舞台で圧倒的な強さを見せました。2006年の第2回大会で念願の初優勝を飾ると、その後も快進撃を続け、第6回大会まで5連覇を達成。金氏はこの日本の黄金時代すべてに主軸選手として参加し、チームを支え続けました。

ワールドカップにおける金氏の個人成績も傑出しています。

2008年の第3回大会では、大会ベストナインに選出。
2010年の第4回大会では、チームの主将として優勝旗を掲げました。
2012年の第5回大会では、チームの本塁打王に輝きました。
2014年の第6回大会では、大会打点王を獲得し、日本の5連覇に貢献しました。

野球以外の活動と現在

長年の功績が認められ、2014年には北海道新聞スポーツ大賞を受賞。地元北海道からも高い評価を受けました。

また、2016年9月24日には、札幌ドームで行われたプロ野球・日本ハム対楽天戦で始球式を務めました。この時の球速は97km/hを記録しましたが、普段の練習では110km/hを投げていた本人にとっては不本意だったようで、悔しさを隠せない様子だったといいます。

選手としての第一線を退いた後、金氏は指導者としての道を本格的に歩み始めます。2022年、北海道栗山高等学校に女子硬式野球同好会が新設されると、その監督に就任しました（後に部に昇格）。自身の豊富な経験と卓越した技術を次世代の選手たちに惜しみなく伝え、北海道における女子野球の普及と発展に尽力しています。

日本女子野球界のレジェンドとして、そして北海道の女子野球を牽引する指導者として、金由起子氏の今後の活動にも注目が集まっています。

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