金英男

金 英男の失踪と北朝鮮への渡航経緯

金英男（キム・ヨンナム）は、1961年6月25日に大韓民国全羅北道で生まれました。彼は1978年8月5日、16歳の時に全羅北道群山沖の自宅近くの島で海水浴中に失踪しました。現在、北朝鮮の特殊機関で働いているとされています。

横田めぐみとの関係も注目されています。日本政府は横田めぐみを日本人拉致被害者として認定し、彼との間に娘（キム・ウンギョン）が一人いることが分かっています。また、再婚相手のパク・チュンファとの間にも息子が一人います。

2002年9月の日朝首脳会談では北朝鮮が日本人拉致を認め、金英男の存在もその後明らかになりました。彼は北朝鮮のメディアにおいて、横田めぐみと「キム・チョルジュン」との結婚、さらには娘を出産した後に死亡したとされていますが、どのインフォメーションにも具体的な証拠が欠けています。

北朝鮮に渡った経緯

1997年に韓国の国家安全企画部が金英男を「北朝鮮による拉致被害者」と認定した結果、彼の失踪が拉致事件である疑いが強まりました。北朝鮮側は当初、金英男の存在を否認していましたが、2006年には彼の母親と再会を約束しました。6月28日には金剛山で彼の母と姉と対面を果たしました。これは彼にとって大きな意味を持つイベントでしたが、その裏には多くの疑念も存在しました。

金剛山での記者会見

記者会見が行われたのは2006年6月29日で、その場で金英男は「北朝鮮の船に救助されて北へ渡った」と説明しましたが、その証言には多くの疑問が持たれました。記者たちは自由に質問することが許されず、事前に質問を提出する必要がありました。そのため、「北朝鮮に拉致されたのでは」という疑問にも否定的な回答が返ってきたのです。

また、彼は横田めぐみの生存を証言し、「1994年に病院で自殺した」と述べました。この情報は北朝鮮当局と異なります。北朝鮮側は横田の死亡日を1993年としているため、金英男の証言には矛盾があるとされています。さらに、金英男は、DNA調査の結果が横田の遺骨が彼女のものではないと示したことについて、日本側を激しく非難しました。

日本と韓国での反応

日本国内でもこの記者会見の内容は大きな関心を集めました。横田めぐみの両親は複雑な思いを抱いており、新たな情報が得られなかったことを懸念しました。安倍晋三内閣官房長官は、金英男の証言に矛盾があると強調し、さらなる真相の解明を求める姿勢を崩しませんでした。

一方、韓国では28年ぶりの再会を祝う声もありましたが、金英男の証言内容には疑念が残っているとの報道も少なくありませんでした。韓国政府はこの会見を「対北政策の一貫した努力の成果」と評価しましたが、拉致問題の解決には日本との協力には消極的な立場を示しています。

このように金英男の失踪とその後の人生は、北朝鮮による拉致問題の中でも非常に複雑な背景を持つ事件として、現在も多くの人々の関心を集めています。

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