金融整理管財人

金融整理管財人とは

金融整理管財人は、預金保険法に基づき、経営破綻した金融機関に代わって業務執行、財産管理、および処分を行うために金融庁（または他の省庁）によって選任される機関です。弁護士や預金保険機構の職員が選任されることが一般的です。

この制度は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律（金融再生法）に基づき一時的な措置として導入されましたが、預金保険法の改正により恒久的な制度となりました。

金融整理管財人の役割

金融整理管財人の主な役割は以下の通りです。

財産管理と処分: 破綻した金融機関の資産を適切に管理し、負債を整理・回収します。
受け皿金融機関の選定: 破綻した金融機関の事業を承継する金融機関を探します。
経営責任の追及: 旧経営陣の責任を追及し、損害賠償請求などを行います。

ただし、刑事手続きにおける強制捜査権限はなく、捜査協力や刑事告発などにとどまります。

選任要件

内閣総理大臣および主務大臣は、以下のいずれかの状況にある金融機関に対して、金融整理管財人による業務および財産の管理を命じることができます（預金保険法第74条1項）。

1. 金融機関が債務を完済できないと判断される場合
2. 以下のいずれかの状況に該当し、かつ業務運営の著しい不適切さ、または金融機関の業務停止・解散が地域経済に大きな影響を与えると判断される場合
預金等の払戻し停止のおそれがある場合
* 預金等の払戻しを停止した場合

破産管財人等との違い

金融整理管財人は、破綻金融機関の財産を管理・処分する権利を持ちますが、その法的性質は、再生手続・更生手続における管財人や破産手続における破産管財人とは異なります。

会社更生手続きにおける管財人などは、会社に代わって事業の経営や財産の管理・処分を行い、訴訟の当事者となります。しかし、金融整理管財人は、破綻金融機関の代表として業務を執行しますが、訴訟の当事者は破綻した金融機関自身となります。

これは、金融整理管財人の管理命令が司法手続きではなく行政手続きであることに起因します。

金融整理管財人は、破綻した金融機関の円滑な処理と金融システムの安定化に不可欠な存在です。

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