金銭債権

金銭債権の概要

金銭債権（きんせんさいけん）とは、主に金銭の引渡しを目的とする債権を指し、広い意味では金額債権と金種債権の両方を含みます。狭義では、具体的に金額債権のみを示します。

金額債権とは

金額債権は、確定した金額を支払うことを目的とする債権で、金銭債権に該当するものの大部分を占めます。一般に、金銭債権といった場合、多くは金額債権を指します。履行時には法律で認められた各種通貨（法貨）を用いて弁済が可能です。たとえば、債務者が500万円の金額債権を千円紙幣で全額支払った場合、債権者はその受領を拒否できません。しかし、同額を一円硬貨で支払った場合には、21円以上の部分については受領を拒否される可能性があります。このように金額債権には特有の履行ルールが存在します。

金額債権の特質

金額債権は以下の特性を持ちます：
1. 目的物の特定が不要であるため、特に種類債権のような特定の物を必要としません。
2. 通常、履行不能にはならず、金融的価値の面での補填義務は原則としてありません。
3. 損害賠償は法定利率に基づいて決定され、債権者は自己の損害証明を要求されず、逆に債務者は不可抗力をもって弁済拒否はできません。

金種債権の理解

金銭債権の中には特定の金種による支払を求める金種債権があります。これには相対的金種債権と絶対的金種債権があります。

相対的金種債権

相対的金種債権は、特定の種類の金銭を特定の量で給付することを目的とする債権です。たとえば、契約の中で支払を一万円紙幣で行うと指定した場合、必要な金額は一万円紙幣で支払う必要があり他の種類の紙幣を用いることはできません。

絶対的金種債権

対照的に絶対的金種債権は、特定の硬貨やコイン、たとえば記念硬貨など、収集を目的とする債権です。この場合は、他の価値に換算される種類の金銭で履行されても受け入れられません。

特定金銭債権と外貨建金銭債権

特定金銭債権は、当事者間で具体的な金銭が特定される債権を示します。たとえば、特定の記念硬貨を売買する場合です。
一方、外貨建金銭債権は外国通貨で額面が指定された債権です。履行時には、日本円に換算して支払うことが可能ですが、当事者間で特定の通貨で弁済する特約を結ぶこともできます。この場合、特約に従って支払いが求められます。

金銭債権の理解は、取引や契約の形成において非常に重要です。それぞれの種類には独自の特徴があり、その性質や履行方法を事前に把握することで、効果的な商取引が可能になります。

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