金門島にかける橋

映画『金門島にかける橋』について

『金門島にかける橋』は、1962年11月3日に公開された、松尾昭典監督による日本と台湾の合作映画です。台湾での大規模なロケーション撮影が行われ、異国情緒あふれる映像美が特徴となっています。

あらすじ

物語は、朝鮮戦争で負傷兵の治療に奔走する外科医・武井一郎が、台湾で一人の女性・楊麗春と出会うことから始まります。麗春は恋人を探して病院を訪ねてきましたが、その恋人はすでに亡くなっていました。失意の麗春を慰めた武井に、彼女はお礼としてアクセサリーを渡して台北へと帰ります。

3年後、武井は金門島で偶然にも麗春と再会します。彼女は弟と共に、雄世の父である哲文に引き取られていました。麗春は武井に感謝の思いを伝えますが、彼女は双十節に劉上尉と結婚することが決まっていました。折しも、金門島への中国共産党による砲撃が激化しており、麗春は武井に「日本へ一緒に連れて行って欲しい」と懇願しますが、武井は彼女の気持ちを押しとどめます。

一方、武井を追って日本からやってきた婚約者の高木かおるは、武井に冷たくあしらわれ、全てを捨ててきた彼女は失望します。双十節の祝賀ムードの中、麗春の結婚式が執り行われようとしています。武井は麗春に「船が急に出航することになったため、二度と会えないかもしれないが幸せに」というメッセージと共に贈り物を渡します。麗春はそれを読み、街へ飛び出していきます。

高雄からの輸送船団が金門島に近づくと、再び砲撃が始まり、武井と同行していた松阪の上陸艇は被弾し沈没。武井は傷ついた松阪をかばいながら、砲火の中を岸へと泳ぎ着きますが、松阪は息絶えてしまいます。その時、武井を呼ぶ麗春の声が聞こえ、二人は波打ち際で再会を果たしますが、至近弾が炸裂し、麗春は武井の腕の中で息絶えてしまいます。武井の絶叫が、黒煙と炎の中に虚しく響き渡り、物語は幕を閉じます。

キャスト

石原裕次郎: 武井一郎
華欣: 楊麗春
芦川いづみ: 高木かおる
山内賢: 王小栄
佐々木孝丸: 病院経営者
唐宝雲: 王美蘭
武家麒: 劉上尉
李影: 張
李冠章: 頼
ウェイ・ウェイ: 陳
長尾敏之助: 病院長
永井智雄: 主任教授
宮原徳平: 新聞記者
柳瀬志郎: 新聞記者
花村典昌: 新聞記者
羅興華: 台北空港事務員
潘潔猗: 竜山寺の老婆
王菲: 海軍憲兵
車伝鼎: 海軍連絡官
劉瑛: 警察官
相原巨典: 東方大飯店支配人
小泉郁之助: 代議士
雪丘恵介: 代議士
星ナオミ: 幹事長の娘
紀原土耕: タクシーの運転手
進千賀子: 台湾大学看護婦
大坂志郎: 王哲文
二谷英明: 松阪和男

スタッフ

監督: 松尾昭典
企画: 中井景、李潔
脚本: 江崎実生、山崎巌
撮影: 岩佐一泉
照明: 藤林甲
録音: 沼倉範夫
美術: 中村公彦
編集: 辻井正則
助監督: 千野皓司
色彩計測: 小栗準之助
特殊技術: 金田啓治
現像: 東洋現像所
製作主任: 銭谷功
スチール: 斎藤耕一
音楽: 黛敏郎

作品の背景

この映画は、金門砲戦や台湾海峡危機という歴史的な背景を元に制作されました。激しい戦火の中で翻弄される人々の運命と、愛と悲しみを鮮烈に描いています。台湾での大規模なロケによって、現地の雰囲気や文化がリアルに描写されている点も、見どころの一つです。

関連情報

金門砲戦
台湾海峡危機
日活公式サイト
* 映画DB

もう一度検索