釣崎清隆

釣崎清隆の生涯と作品

釣崎清隆（つりさき きよたか、1966年生まれ）は、富山県に生まれ、写真や映像、文筆活動を通じて独自の視点で人間の本質に迫る作品を生み出しているアーティストです。彼の活動は、死体を主題にした作品で知られ、様々な国の犯罪現場や紛争地域でその瞬間を捉えています。

経歴の始まり

釣崎は幼少期、映画に強い影響を受け、早くから映画監督を志すようになります。中学時代には映画館に頻繁に通い、高校生の頃から自主映画制作に携わりました。大学では映像制作サークルに参加し、アダルトビデオ業界への関心を深めていきます。彼は人権団体との対立を経験しつつ、V＆Rプランニングからシネマジックに転職しました。

死体と向き合う

27歳でAV業界に限界を感じた彼は、鬼畜系雑誌の編集者に誘われてタイで死体写真を撮影することになりました。最初は映像より劣ると考えていた写真でしたが、実際に死体の現場に立ったことでその衝撃は大きく、自身のスタイルを確立していくことになります。特にコロンビアでの体験は彼の視点を大きく変え、麻薬戦争の余波が残る地域での撮影は彼にとって衝撃的な出来事でした。

国内外での展開

釣崎は2001年以降、パレスチナやインド、フランス、メキシコなどを訪れ、関心のある地域でのルポルタージュ活動に取り組みました。13年目にしてようやく国内でも撮影を敢行し、映像作品『JUNK FILM』を発表。その後も東日本大震災を経て、ルポルタージュの活動へとシフトしていきました。

福島第一原発での経験

彼は福島第一原発の作業員として、現場の実態を観察しました。この状況を「暴力大陸」と称し、確信を持って原発の技術に対しても意見を述べるようになります。最下層の下請け会社に身を置きながら、事故後の福島の環境を厳しく批判しました。

アートへの取り組み

釣崎は、2018年に死体写真集『THE DEAD』を出版し、過去の活動を総括した展覧会を開催しました。2023年には、これまでのキャリア初の死体以外のテーマに取り組んだ「THE LIVING」を発表し、再び注目を集めています。彼の作品は、死に対する深い考察を反映し、観る者に強烈なメッセージを投げかけます。特に、「死体は虚実や善悪が何の価値も持たない、たんたんとしたこの世界の断面」との言葉は、彼の視点を端的に表しています。

メメント・モリ

彼の思想には、「メメント・モリ（あなたはいつか死ぬ。それを忘れるな。）」というテーマが繰り返されています。生と死についての深い考察は、彼の作品の核を形作る重要な側面であり、見る者に死を身近に感じさせる効果を持込みます。

釣崎清隆は、死というテーマを通じて私たちの掘り下げられた本質に迫る作品を生み出し続けています。彼の作品は、単なる映像や写真に留まらず、観る者に深いメッセージを伝え続ける重要なアートとして、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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