釣鐘町

釣鐘町：大坂の歴史を告げる鐘の音

釣鐘町は、大阪市中央区の北部に位置する町名で、一丁目と二丁目から構成されています。北は島町、南は船越町、東は谷町一丁目、西は松屋町筋を挟んで東[[高麗橋]]に隣接しています。

町の歴史と由来

釣鐘町は、明治5年（1872年）に釣鐘上之町と近江町が合併して誕生しました。その町名の由来は、江戸時代初期に遡ります。寛永11年（1634年）、徳川家光が二条城から大坂城へ船で入城した際、町人たちが将軍を歓待し、そのお礼として大坂の町人たちは地子銀の永久免除を約束されました。この恩恵に感謝した町人たちは、時を知らせるために釣鐘を製作し、町中に鐘の音を響かせました。これが「大坂町中時報鐘」であり、釣鐘屋敷が建てられ、町名の由来となりました。

大坂町中時報鐘

大坂町中時報鐘は、重さ3トン、高さ1.9メートルの巨大な鐘で、「仁政の鐘」とも呼ばれていました。江戸時代には、2時間おきに鐘を鳴らし、人々に時を知らせる役割を果たしていました。この鐘の音は、近松門左衛門の『曽根崎心中』に登場する「暁の鐘」のモデルになったとも言われています。

鐘楼は過去に何度か火災で焼失しましたが、鐘そのものは難を逃れました。しかし、明治時代に入り、時を知らせる手段が号砲に変わると、1870年に鐘は撤去され、寺院や小学校などに預けられることになりました。その後、忘れ去られていた鐘は、1926年に大阪府庁舎が新設された際に屋上の鐘楼に設置されました。

1970年代になり、郷土史家によって鐘が「再発見」され、1970年には大阪府の有形文化財に指定されました。1985年6月10日（時の記念日）には、企業家らの資金提供により、かつての釣鐘屋敷跡に鐘楼が再建され、鐘は「里帰り」を果たしました。

鐘を巡る現代の問題

鐘楼が再建された際、鐘楼部分の土地（17坪）は、地主である住友生命から「大坂町中時報鐘顕彰保存会」に無償で永代貸与されることになりました。しかし、その後土地がマンション用地として転売された際、この無償貸与の協定が問題となりました。マンションの地主である不動産会社は、固定資産税の負担を理由に、保存会と府に対し、協定解除と土地の明け渡しを求め、訴訟に発展しました。2015年当時、マンションの一角に鐘楼は存在し、平日は午前8時、正午、日没の3回、コンピュータ制御によって鐘が鳴らされていました。

町の現状

釣鐘町には、大阪市立中央高等学校や西松建設西日本支社などの施設があります。最寄り駅は、京阪電気鉄道・Osaka Metroの天満橋駅です。

現在も、大坂町中時報鐘は、釣鐘町の歴史を伝えるシンボルとして、その鐘の音を響かせています。しかし、鐘を巡る問題は未だ解決しておらず、今後の動向が注目されます。

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