鈴木重次

鈴木重次について

鈴木重次（すずき しげつぐ）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武士であり、水戸藩士として知られています。彼は生涯の中で「鈴木孫三郎」から「雑賀孫市」と名を改めたことでも注目されています。

生涯と経歴

重次は慶長3年（1598年）に、鈴木重朝の息子としてこの世に生を受けました。父の重朝は慶長11年に徳川家康に召抱えられ、その後水戸徳川家の徳川頼房に仕官しました。鈴木重次もまた、藩主頼房に仕え、3,000石の所領を持つ武士としての地位を確立します。彼は大番頭や家老として重要な役割を果たし、藩主の上洛の際には藩兵の編成を主導しました。

特に、元和9年（1623年）、寛永3年（1626年）、寛永11年（1634年）には頼房の上洛に同行し、藩の体制を支える重要な仕事を任されました。これにより彼の影響力はさらに強化されたことが伺えます。重次は寛文4年（1664年）に67歳で亡くなり、浄光寺（現在のひたちなか市館山）に眠ります。彼には男子がいなかったため、頼房の子である重義を婿養子に迎え、彼が後を継ぎました。

名称の変遷

鈴木重次は鈴木孫三郎の名から雑賀孫市へと改名しました。彼の弟の子孫は「鈴木氏」を名乗る一方で、重次の系譜は「雑賀孫市」または「孫一郎」を世代を超えて襲名し続けます。この改名は、重次が武士としての誇りと家業を大切にしていたことを示しています。

逸話の紹介

重次に関する興味深い逸話がいくつか残されています。例えば、慶長5年の関ヶ原の戦いに先立つ伏見城の戦いにおいて、彼が鳥居元忠を討ち取ったとされることがあります。しかし、実際に元忠を討ったのは父の重朝であったと考えられており、この出来事がしばしば重次の功績として誤解されています。

重次はその際、元忠の甲冑や刀剣を引き取り、のちに元忠の子・忠政に贈ることとなります。忠政はこれを受けて非常に喜び、涙を流して感謝を示したとされています。その後、忠政は毎年重次に衣服を贈るようになり、徳川頼房もこの贈り物を知ると、重次の家を訪れる際には事前に道を修理し、もてなし準備を整えたと言われています。

重次と忠政の交流が、戦友としての絆を深めるエピソードはその後も語り継がれ、武士の道義が感じられます。興味深いのは、重次と鳥居元忠の一族の後裔である鳥居瀬兵衛が、水戸藩士として仕え、大番頭に昇進したことです。彼らは戦場では敵として戦ったものの、水戸家で再会し、互いの立場を語り合う機会があったといいます。このような運命的な関係が、武士の縁を感じさせます。

重次の人生は、単なる武士の物語に留まらず、家族や歴史との関わりが交錯した深いものとなっています。

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