鉄人をひろったよ

鉄人をひろったよ

藤子不二雄（藤本弘）によるSF短編漫画作品。1983年に発表され、平凡な老人が巨大ロボットを手に入れたことで巻き起こる騒動を描いています。

概要

本作は、日常と非日常のギャップをユーモラスに描いた作品です。老齢の主人公が、日常生活には不必要な巨大ロボットを「おもちゃ」として扱い、犬や猫を拾ったかのように受け入れる様子が特徴的です。この対比が、作品の面白さを際立たせています。

雑誌版と単行本版

雑誌掲載時には18ページの作品でしたが、単行本収録時に大幅な加筆修正が加えられ、25ページの作品となりました。変更点としては、季節を夏から秋に変更し、登場人物の服装を長袖に描き換えたり、鉄人の登場シーンを全面的に描き直したり、隣家の描写を追加したりするなど、細部にわたって手が加えられています。

あらすじ

ある夜、主人公の老人が自家用車で川沿いの土手を走っていると、瀕死の男を発見します。男は主人公に、アンテナの付いた機器を託し、旧帝国陸軍が開発したロボットに関する情報を断片的に伝えます。男が息絶える前に主人公が機器のボタンを押すと、巨大なロボットが現れます。主人公はそれを「贅沢なおもちゃ」と思い、家に持ち帰ります。しかし、鉄人は主人公を追って家までやってきます。

登場人物

老齢の男
本作の主人公。背広を着て自家用車で通勤する、どこにでもいるような老人。非常識な事態にも冷静に対応します。
主人公の妻
夫と共に鉄人の扱いに困惑します。
鉄人
巨大なロボット。リモコンの音声命令で作動します。『鉄人28号』がモデルの一つと考えられます。
倒れていた男
主人公にリモコンを託し、謎の言葉を残して姿を消します。
九条
主人公宅の隣に住む、口うるさい隣人。庭の落葉樹に難癖をつけます。
雄一郎
主人公夫婦の孫。会話の中にのみ登場します。

ドラマ

2024年には、藤子・F・不二雄SF短編ドラマ シーズン2の一作として実写ドラマ化されました。ドラマ版では、主人公が携帯電話を持っていたり、徒歩で土手を歩いていたり、男が組織名を一切言わずに息絶えたりするなど、原作漫画とは異なる点がいくつか見られます。

関連作品

『ドラえもん』23巻「大あばれ、手作り巨大ロボ」
ドラえもん のび太と鉄人兵団（1985）
* ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜（2011）

「鉄人をひろったよ」は、藤子不二雄ならではのユニークな発想と、SF的な要素を巧みに織り交ぜた作品です。日常に突如現れた非日常的な存在を通して、人間の本質や社会のあり方を問いかける、奥深い物語となっています。

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