鉄側有蓋車

鉄側有蓋車とは

鉄側有蓋車（てつがわゆうがいしゃ、またはてつそくゆうがいしゃ）は、日本の鉄道における特定の貨物輸送用の車両であり、その設計や性能に特徴があります。この貨車は、鉄道省及び日本国有鉄道（国鉄）によって導入され、車両記号は「ス」で示されています。

歴史的背景

この鉄側有蓋車の開発は、大正時代の終わりにさかのぼります。鉄道省は1925年に、鋼製の有蓋貨車「ワ45000形」を製作する決定を下しました。これは当時既に製造されていた「ワム32000形」の外側板を鋼板に変更したものでした。

しかし、この初期型の貨車は内張りがなく、屋根も木製のままでした。そのため、特に夏季には内部が輻射熱の影響を受けやすく、当時の主な貨物であった米の輸送には不都合な面がありました。この問題を解決するために、1928年には増備車から鋼製有蓋車に内張りを追加することが決まりましたが、これらの初期型に関しては運用上の制約から新たに分類されることになりました。

鉄側有蓋車の特徴

そうして誕生したのが現在知られている「鉄側有蓋車」スム1形です。これにより、国鉄における以降の鉄側有蓋車の増備は1955年に行われたワム3500形鋼体化改造の際だけに限られることとなりました。この分類の目的は、改良された新しい形式と初期の欠陥を持った形式との間での明確な区別を行うことです。

その後、この鉄側有蓋車は木造有蓋車に比べて防水性に優れ、同時に鋼製の有蓋車よりも軽量であったため、私鉄では1960年代まで使用され続けました。特に、袋詰めのセメント輸送に活躍しました。

現在の状況

2015年4月時点で、秩父鉄道にはこの鉄側有蓋車のモデルが2両だけ残っていますが、残念ながら営業用としては使用されていません。それでも、鉄道の歴史における重要なイノベーションの一環として、多くの鉄道オタクや研究者に注目されています。

主な形式

日本国有鉄道での鉄側有蓋車の主な形式には以下があります：

• - スム1 : 設計寸法はH3633×W2736×L7830mmで、最大積載量は9.0トンです。
• - スム4500 : ワム3500形を鋼体化改造したもので、積載量は15トン、寸法はH3730×W2700×L7830mm、重量は8.7トンです。
• - スム4000 : 秩父鉄道で使用されています。

このように、鉄側有蓋車はその特性から、特定の貨物の輸送に特化した役割を果たしました。日本の鉄道貨物の歴史の中で、今後もその重要性は語られ続けることでしょう。

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