鉄道写真家

鉄道写真家

鉄道写真家（てつどうしゃしんか）とは、鉄道に関する多様な被写体を専門的に捉えることを職業とする写真家の総称です。その活動範囲は、鉄道車両そのものに焦点を当てることから、鉄道が溶け込む広大な風景、あるいは鉄道沿線に暮らす人々の営みなど、鉄道を主要な要素または主題とするあらゆる写真表現に及びます。

定義と歴史的変遷

元来、欧米などにおいては「鉄道写真家」という言葉は、熱心な鉄道愛好家（railway enthusiast）の中でも、特にスティルカメラ（静止画を撮影するカメラ）や動画用のカメラを使い、撮影を主な生業とする専門家、すなわち撮影技師を含む概念として用いられました。日本では、かつては趣味で鉄道写真を撮るアマチュア愛好家も「鉄道写真家」と呼ぶことがありましたが、近年では職業として活動するプロフェッショナルと、趣味として楽しむアマチュアを区別する傾向が強まっています。現在、プロとして鉄道写真を撮影する人々は「鉄道写真家」や「鉄道カメラマン」と呼ばれることが多く、対照的にアマチュアの愛好家は「鉄道写真愛好家」や俗に「撮り鉄」などと呼ばれるのが一般的となっています。

プロの活動と収入源

職業としての鉄道写真家は、必ずしも鉄道分野のみに特化しているわけではありません。中には、鉄道関連の仕事を中心に据えつつも、他の分野の写真撮影も兼業している人も存在します。

プロの鉄道写真家の主な収入源は多岐にわたります。鉄道関連の専門雑誌や、カメラ雑誌での作品発表や技術解説、鉄道に関する書籍やムック本への寄稿、さらにはウェブ媒体でのコンテンツ提供などが挙げられます。また、自身の経験や知識を伝えるための講演活動、テレビやラジオ番組への出演、そして写真展を開催し、作品を販売することなども収入に繋がります。特に日本では、鉄道会社のポスターや広告に使用される写真撮影を手がける写真家が、業界内で高い評価を得ていることが多いようです。近年では、女性の鉄道写真家も増えており、多様な視点からの作品が生み出されています。

アマチュアとの違い

「アマチュア写真家」という言葉が現代でも使われるように、特に第二次世界大戦以前の日本では、写真を撮ることで直接的な収入を得ていない人々も広く「写真家」と称されることがありました。しかし、現在の日本では、鉄道写真を趣味として撮影する人々を「写真家」と呼ぶことは少なく、前述の通り「カメラマン」や「撮り鉄」といった呼称が一般的になっています。

職業としての鉄道写真家は、単に美しい写真を撮る技術だけでなく、鉄道運行に関する知識、安全確保への配慮、取材対象との交渉能力、そして依頼者の要望に応じた写真を提供するための企画力なども求められる専門職と言えます。

関連項目

* 鉄道写真

もう一度検索