鉄道史資料保存会

鉄道史資料保存会について

鉄道史資料保存会（てつどうししりょうほぞんかい）は、大阪市に拠点を置き、鉄道に関する歴史的資料の収集と保存に取り組む団体です。この会は1975年の秋に設立され、以来、鉄道に関する貴重な資料の発掘、整理、保存に努めてきました。特に評価されているのは、その発行している会報『鉄道史料』で、多くの一次資料を掲載しています。

設立の背景

鉄道史資料保存会は、1970年代に、形式図集や時刻表を蒐集していた「太陽社奥田印刷所」の奥田晴彦さんを中心に設立されました。創設メンバーには、鉄道友の会阪神支部のメンバーも含まれ、貴重な資料が散逸することを惜しむ志を持った人々が集まりました。初代会長には、大阪市交通局で路面電車の廃止時に資料保存に尽力した宮本政幸さんが就任し、1976年1月から季刊の会報『鉄道史料』の発行が開始されました。

出版物の内容

『鉄道史料』は、設立以来、572号まで刊行され続けており、その中には多くの図面や古い写真が収められています。内容は、明治期から戦前にかけての蒸気動車、客貨車、電車、気動車など多岐にわたります。また、湯口徹氏や鈴木啓之氏による車両研究、上野結城氏の『伊勢電気鉄道史』のような私鉄の社史研究、さらには高山禮蔵氏による古地図研究も行われています。

さらに、『関西鉄道略史』や『NSKトラック組立図』といった専門書籍の出版も行っており、これらはすべて奥田さんのライフワークとされています。奥田さんの死去する2009年4月までに著作数は117冊に及び、内容も質も高いものと評価されています。

特に、竹田辰夫氏の『阪和電気鉄道史』は近畿一円の図書館からの注文が殺到し、増刷が行われました。また、一般では手に入りにくい専門的な研究資料の出版も行われ、それにより多くの貴重な情報が保存されています。

所蔵先と流通

『鉄道史料』は大阪府立中之島図書館をはじめとする多くの図書館に所蔵されています。国立国会図書館や鉄道博物館ライブラリー、京都鉄道博物館などの資料室でも見ることができます。最新号の情報は、鉄道ピクトリアルや鉄道ファンの新刊図書欄に掲載されるため、興味のある方はそこで確認できます。

受賞歴

鉄道史資料保存会は、その貴重な鉄道史資料の収集と保存、また、120冊の会誌刊行による功績が評価され、2008年には鉄道友の会から「島秀雄記念優秀著作賞」特別部門賞を受賞しました。これは「定期刊行物『鉄道史料』の継続出版に対して」の賞です。

まとめ

鉄道史資料保存会は、鉄道の歴史を知るための貴重な資料を収集し、一般の人々に提供しています。鉄道に関心のある方々にとって、訪れる価値のある団体と言えるでしょう。

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