鉄骨飲料

鉄骨飲料：健康とカルチャーを彩った清涼飲料水

サントリーフーズ株式会社がかつて発売していた「鉄骨飲料」は、単なる清涼飲料水としてだけでなく、1980年代後半から2010年代初頭にかけて、時代の流行や健康志向を反映した独自の進化を遂げた製品として記憶されています。本稿では、その歴史、特徴、そして関連商品について詳細に解説します。

商品概要と特徴

鉄骨飲料は、鉄分、カルシウム、カゼインホスホペプチド（CPP）を配合した特定保健用食品として、消費者の健康意識の高まりを捉え商品化されました。グレープフルーツ風味の爽やかな味わいで、200mlのペットボトル容器に、青、白、赤を基調としたラベルデザインが特徴的でした。原材料には砂糖、グレープフルーツ果汁、CPP、乳酸カルシウム、香料、酸味料、塩化カルシウム、パントテン酸カルシウム、安定剤（ペクチン）、クエン酸鉄ナトリウム、酸化防止剤（ビタミンC）、カロチン色素などが使用されていました。

1989年から2010年までの歴史

1989年の発売開始と同時に、鷲尾いさ子が出演するインパクトのあるテレビCMが大きな話題を呼び、1年間で1億5000万本以上の販売を記録するなど、センセーショナルなデビューを飾りました。CMで使用されたオリジナルソング「鉄骨娘」はCD、カセットテープ、ビデオテープとして発売され、大きな人気を集めました。

1995年には厚生省（当時）から特定保健用食品としての許可を取得。味とラベルデザインを改良し、新たな展開を図りました。1999年にはさらなる味覚の改良と、発売当初に近い配色へのラベルデザイン変更によるリニューアルが行われました。

そして2010年、約11年ぶりの改良版が発売されました。容器はガラス瓶からペットボトルへ、容量は120mlから200mlへと増量され、カルシウム含有量も200mgに増えました。このリニューアルに合わせて約20年ぶりにテレビCMが制作され放映されました。1989年当時のCM制作スタッフが再集結し、独特の世界観を継承しつつ、新たな「鉄骨女神」として弥生が出演したCMは、話題を呼びました。

関連商品とCMソング

鉄骨飲料の人気は、CMソングにも波及しました。「鉄骨娘」は東京バナナボーイズが作詞・作曲・編曲を担当し、鷲尾いさ子と鉄骨娘名義でリリースされました。その後も「風の鉄骨娘」などがリリースされ人気を博しました。2010年のリニューアル時には、新たなCMソング「鉄骨娘パオ♥〜パオ♥のテーマ〜」が制作され、パオ♥（吉川まりあ、フォンチー）が歌を披露しました。

鉄骨飲料と同様に、鉄分を含む「鉄骨飴」という姉妹商品も販売されていました。また、1991年には語感の似た「熱血飲料」も発売され、東京バナナボーイズによるCMソング「熱血キッドの唄」もCD化されました。

まとめ

鉄骨飲料は、単なる清涼飲料水としてだけでなく、時代のトレンドや健康志向を巧みに取り入れ、進化を遂げた製品です。CMソングや商品デザイン、そしてリニューアルの歴史は、1980年代後半から2010年代初頭にかけての日本の社会や文化を反映しており、多くの消費者の記憶に残る製品となりました。その独特の世界観と、健康への配慮を組み合わせたマーケティング戦略は、現代においても参考となる事例と言えるでしょう。

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